レコードを買う理由

紙たばこ、紙の本しかりもっと便利なものが出てきてもなお、人気を獲得し続けているものは存在する。

レコードもそのうちの一つだ。
あのビンテージ感が好き、インテリアとしておしゃれ、渋い音が好き、理由は様々だ。

しかし、僕はもっと裏に大きな理由が存在していると考える。

機械が人間に近づいているのではなく、人間が機械に近づいている

プラチナデータ

僕が好きな小説の一文だ。
機械がどんどん人間に近づいているとよくいわれている。表情であったり話し方であったり。
しかし、僕には人間が機械に近づいている気がする。

突然だが、「雅楽」を知っているか。
日本の古典音楽としてイメージするあの音楽のことだ。雅楽はあんなにもテンポが遅いが、現代音楽は同じ音楽というジャンルなのか不思議に思うほどテンポが速い。
これは時間の体感速度の変化でもある。
現代は機械、技術の発達により時間の速度が速くなっている。
無駄が省かれているとも考えられるだろう。

つまり、人間が機械的になっているのだ。

これがレコード人気の裏に潜んでいる。

今や、いつでもどこでも手軽に、すぐ音楽が聴けてしまう。そこに一切の無駄はない。

合理的過ぎる社会との決別として、人間が人間らしくいるために、レコード盤を買いに行き、針を落とすという無駄を含んだレコードに人気があつまるのではなかろうか。

自分のことをすこし幸せにしてくれる感動もこうした無駄に潜んでいる気がしてならない。



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