トッド・ラングレン『サムシング/エニシング?』
【今の若い子風に言うと「神」である】
トッド・ラングレン『Something/Anything? サムシング/エニシング?』
今朝、ウォーキングで聴いてたら
「ブラック・マリア」
これ、かっこいいハードロックだなあ、いまさらだけど。
メローなコーラス含む歌の部分とキメのギターの後のハードなギターの部分、その切り替えのスリルと、そのトッドのハードなギターソロ、気持ち良いなあ。
トッド・ラングレンはギタリストとしても大好きだ。
ブラック・マリア
https://youtu.be/a7DV6DM9jKw?si=QWUB-W2dx1unSKr2
そして、このアルバム聴いて
古い思い出がよみがえる。
私が運動部を辞め、バイトして、ギターを買ったのが、高三になる春でした。
まわりより、けっこう遅めでした。
大学に入り
いくつかのバンドをやったりしましたが、同年代と組むと、いつも1番下手でした。
始めたのが遅め
音感悪く、才能がない
努力も足りない
いろいろ理由があるが、同年代ではどうしても1番下でした。
もともとお喋りだし、口出すの好きだから、バンドを引っ張ろうとするが、こと音楽的なことには、途端に無口になってしまう。
下手と自認するあたり
引いてしまう。
そのくせ、中学時代からディランが好きで歌詞みたいのは、たくさん書いているし
ギター始めてすぐに曲も作ろうとした。
作曲の仕法も知らず
テクニックも経験もないのに
自分の曲を作りたいという思いだけ、胸いっぱいあった。
しかし
スタジオでメンバーと音を出すと、途端に何も言えないし
意見があっても、頭に浮かんだ音をどう説明していいかも、わからない。
やっぱ、プレイヤーは向かないのかな
バンドは、きっぱり辞めようかな
て、時に
ふと思い出したのが
『サムシング/エニシング?』のジャケットの内側の画像。
なんと、トッドがモップの柄を立てて、マイクスタンドにしてる画像。
わざとらしい画像であるが
これを、思い出した。
この二枚組レコードは、4つある片面のうち、三つはトッド1人の多重録音。
そうだ
これだ!
と、秋葉原に行き、持ってる小金を叩き、カセットデッキを二台買ってきた。
実家から持ってきた古いマイクを使い、まずはギターを重ねて録音してみた。
イメージは、昔ヤードバーズのレコードを探しているときに買った編集盤レコードに入っていたクラプトンとペイジの2人だけでギター弾いてる曲。
そして、ベースの代わりに、ギターを5音くらいかな、ぎりぎり弾けるくらいに弦を緩め、弾いたのを重ねてみたり。
そのうち、友人のススメで選んだAKGのマイクや安価な4チャンネルミキサーやエコーとか買ったり
たしか19,000円だったベースギターを買ったりして
多重録音を始めた。
バイト代は、そういう楽器代に消えた。
楽しかったなあ。
稚拙な曲だが
全部自分で作った曲が出来た。
友人から聞いた成毛滋さんの言葉
「俺が三人いたらバンドが出来る」
これだ。
機材も
あまり多重録音を重ねると音が悪くなるからと
歌いながらギター弾こうと
さらに
マイクスタンドを買ったり。
コルグから安いシンセが出たと、MS10だったかな、55,000円のを買ったり。
デイブ・メイソンみたいな曲やりたくて
ヤマハの9万の12弦ギター買ったり。
ピアノは弾けないが、多彩な音を入れたくて
ローランドの14万くらいのストリングス・アンサンブル買ったり。
世田谷区松陰神社前の古ぼけたアパート六畳一間17,000円共同トイレの住まいをスタジオにした。
二階建て一階の端っこの部屋。
隣の明大生は、いくら音を出しても文句言わない大人しい奴でした。
たまに、2階にいる国士舘大学の運動部の学生には怒鳴り込まれたが
謝っては、また音を出すという
ひどい住民でした。
私、小学生の頃から音楽の授業は大嫌い。
鍵盤の白鍵、黒鍵の意味も
シャープやフラットの半音の意味も知らなかったし
もちろん、長調や短調の意味も知らず。
授業で、歌えと言われても、歌わなかった。
小さい頃、テープレコーダで初めて聞いた自分の声が嫌いだったから。
5段階評価で、唯一の「1」を取ったことがあるのが、音楽。
しかし
ギターを始め
半音の意味を知り
シンセやストリングス・アンサンブルを買い、バークリーの教本買ってきて、読んでみたり。
やっと、人並みくらいの音楽知識を得たり。
そうやって、多重録音をやっていたら
なんとなく自信も出てきて
バンドもまたやるようになり
誰かと音を合わせるという快感を知った。
これは、たまらない快感だった。
誰かと音を通じて、繋がる。
凄い快感だった。
そう
バンドの楽しさを知った。
多重録音も
リズムボックスを多用していたが
バンドで知り合ったドラマーに頼み
そいつと私のギターで基本トラックをスタジオで録音し、それに自宅で音を重ねるようになり、より良い音になっていった。
また
多重録音のためにベースギターを買ったことで
バンドでベースをやったりしてたら
「ベースやって」という依頼があったりして、バンド活動をさらに広げていけた。
また、話しがそれるが
あるとき、知らない人から「ベースやって」と電話があった。
ベースだけ抜けて、困っていたら、友人から私のことを聞いたというので。
下手だよ、とスタジオ行ったら
ギター、キーボード、ドラムス
みんな上手い。
時は、ヒュージョンやクロスオーバーが流行り出した頃
ギターやキーボードがソロを応酬。
渡された譜面なんて、複雑なコードばかり。
仕方なく、単純なフレーズばかり弾いていたら
「そのシンプルさがいい」
なんて言われたり。
終わってから
なんちゃってベーシストだからと
すごすご退散した(笑)
いろいろあり
一切の音楽活動を辞め
サラリーマンになってから
旧友から数年ぶりに電話あり
「ベースやって」と言われ、始めたトリオバンドでは、学園祭のOBが出られる日に演奏するようになり、それは何年も続いて、私よりずっと若い学生の友人も出来、そのうちの何人かはいまだに交流がある。
平成元年には
TBSの「イカすバンド天国」という番組で、テレビにも映り、良き記念にもなった。
学校の授業で先生に怒られても歌わなかった私が、テレビでベース弾きながら歌っていた。
そうそう
バンド活動で、知り合った奴の縁で働き始めた店での交流で知り合った音楽サークルの何人かとも、いまだに交流してる。
学祭に出られるようになったのは、その音楽サークルのおかげ。
てなわけで
書くとキリがないが
一度は諦めたプレイヤーとしての私。
トッドの『サムシング/エニシング?』の中ジャケットの画像のおかげで
プレイすることの極悦至極の楽しさを知り
プレイしたからこそ、リスナーとしてわかることもあるし
音楽の多角的な面での楽しみを知った。
もちろん、そのおかげでの人脈も財産だ。
そんなわけで
『Something/Anything? サムシング/エニシング?』
まさしく
私には“神”なのだ。