どうした?お父さん
「ねえねえ、パパ聞いてよ」
「んっ?」
「じいちゃんがね。今日K(次男)を『愛してるよ~』って抱き締めてから帰って行ったんだよ~」
「えっ~!マジで~?(笑)」
正直驚いて、ちょっと感動した。
人生50年。
さすがに赤ちゃんの頃まではわからないが、物心ついてから1度とてシャイな父の口からその台詞が飛び出すのを聞いたことはない。
肺炎で入院し、1ヶ月の療養ののち帰宅。
前述の台詞は、久し振りに会った溺愛する孫に人見知りをされてしまったことが余程ショックで、巻き返しをはかろうと出てきた言葉だろうと最初は推測した。
でも今までの父から想像するに「たったそれだけの理由からで発せられる言葉ではないな」と思い直した。
肺炎の他、普段の不摂生によるいろいろな病気が発覚した入院期間中。
父も人知れず「思うところ」があったようだ。
もう、多分そこまで長くはないであろう残りの人生。
「恥ずかしがらず、今までより『愛に満ちて』生きていきたい」
と考えたのかなと思う。
病院で僕に、
「心底反省した。みんなに感謝して、生まれ変わったつもりで頑張るよ」
と言ったのは、上っ面ではなかった。
実家に戻ってからは規則正しく生活し、質素な料理を楽しそうに食べているという。
80に近くなった人間が、本気で変わろうとしている。
「いやあ。それにしても実際お父さんが『愛してる』って言ってるの聞きたかったなあ」
「ハハハ。聞きたいの?」
「うん。なんなら、僕に言ってもらいたいくらいだよ」
「ハハハ。何言ってんの?もうパパ50だよ。それじゃ『大きな子ども』じゃ~ん」
ママは笑ってたけど、僕はまあまあ本気だ。
なんせ今まで聞いたことがないのだから、『大きな子ども』と言われても、そりゃあ「言って欲しい」ってのが人情だ。
でも「生まれ変わった」父なら、そのうち言ってくれそうな気もする。
「じゃあその前にまずは僕も変わってみよう」と思って、長男を抱き締めながら「愛してる」とやってみた。
案の定、
「やだやだ。キモい」と突き放された(笑)。
でも構わない。
気持ちは伝えようとしなければ伝わらないことを今まで学んできたし、今回「人はいつでも変わり得る」と知ることができたのだから、実行あるのみだ。
僕は「もう50歳」なんじゃなくて、「まだまだ50歳」なんだと改めて思う。
きっと、僕には『伸び代』しかない。
はず😊