「着ない」男 ー奇人宣言ー
冒頭からいきなりの質問で恐縮なのですが、
急に寒くなってきたもので忘れてしまったんですけど、今年は『秋』ってありましたっけ?
まあ「着るか」「着ないか」でいったら「着ない」んです。
ええ。
ただですよ。
私だって週6で働いている優良な(笑)隊員なわけですから、会社には
「要りますか?」「要りませんか?」
のくだりだけは、はしょって欲しくないわけです。
あっ!失礼しました。
警備の際の『防寒着』の話です。
警備員になって約3年半。
夏の空調服。冬の防寒着。
その都度営業所で貰っては「鬱陶しいです」とすぐ返し、また貰っては「やっぱ要らないです」を繰り返していましたら、とうとう今冬、会社からの「要りますか?」「要りませんか?」のくだりがなくなってしまいました。
いやね。
真夏はとても暑いし、真冬はとても寒いんです。私だって人間ですから。
ただですよ。
身体に必要以上の布が重なっているのが、どうしても「鬱陶しい」となっちゃうんです。
着れてダウンがギリギリなんですよ。コートとかはもう何十年単位で着てないですね。
真冬の朝4時半からのある現場では、他の若い隊員さんから「今日は朝マイナスになってますよ。ようかんさんさすがに今日は防寒着着ないと風邪ひいちゃいますって」と心配されましたし、雪が降った日のある工事現場ではポストの近くのデパートの警備員さんに「あなた雪なのに防寒着着ないで大丈夫なの?雪だるまみたいになってるけど」と、笑いながら指摘されたこともありました。
そんな風の噂が会社にも届いたらしく、晴れて私は今冬『奇人認定』を受ける運びとなりました。
でもね。
冒頭にも書きましたが、やっぱり寂しいじゃないですか?
「いやいや、もっと構ってくれよ」と。
「要りますか?」「要りませんか?」のくだりののちに「私は要りません」と高らかに会社に宣言し、「そう。私は奇人なのだ」というアイデンティティー宣言を己の中にも響き渡らせたいんですよ。
ですのでね。
つい先日、会社に年末調整の書類を出しに行った際に宣言して参りましたよ。
(会社にて)
若手内勤職員F君(以下F)「じゃあ年末調整書類お預かりしますね。お疲れ様でした」
私「いやいや、F君。まだあるでしょ?」
F「えっ!何すか?」
私「ほらほら。冬に着るあれよ」
F「ああ、防寒着っすね。でもようかんさん要らないですよね?」
私「でもほら。他の隊員は全員貰ってるわけでしょ~?だから『要る』『要らない』のくだりだけはやってよ。お願~い」
F「でも着ないでしょ?ようかんさん」
私「まあまあ、そういう『いけず』なこと言いなさんなし~。寂しくなっちゃう~」
F「かなりウザいですね、ようかんさん(苦笑)」
私「ほら。やってやって~」
F「はいはい(苦笑)。じゃあ防寒着要りますか?要りませんか?」
私「うん。要らないです」
F「ふふ。超めんどくせえ、ようかんさん」
私「ありがとうねえ、F君」
F「(苦笑)」
危うく『老害』になりかけたので(笑)F君には丁重に謝ったことだけは付け加えておきますが、これで私の『奇人警備員宣言』が無事終わりました。
今朝もがっつり寒いです。
でも大丈夫!
公私ともに高らかに『宣言』しましたから。
警備員になって3度目の冬。
歴戦の『奇人』は『やせ我慢』という鎧をまとい、必ずや寒さを撃退してみせましょうぞ💪