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【京都】琵琶湖疏水③ 蹴上駅から南禅寺。レンガ萌え。ないないづくしで文を書く。

琵琶湖疏水を歩くシリーズ3回目。今回は蹴上かいわいである。歩いてわかったことだが、私は本当に体力がない。おまけに暑さに弱い。なぜ、夏に歩く企画なんて思いついてしまったのか。自分のバカヤロウ! と毒づきたい思いを抑えて、台風がこないうちにと、8月31日、蹴上を訪れた。この日、京都の最高気温は36.1度。私の両足の甲は茶色く焼け、サンダルの白い跡がT字型にくっきり残った。

地下鉄の蹴上駅で降り、三条通へ。空は晴れ、雨が降る前のもわっとした蒸し暑さがたちこめる。西に進むと、すぐ、小さな赤レンガのトンネルが見えた。ちょっと変わった名前だが、「ねじりまんぽ」という。蹴上インクラインの下をくぐる短いトンネルである。三条通側に「雄観奇想(ゆうかんきそう)」、反対側には読みづらいが「陽気発処(ようきはっするところ)」の扁額がある。いずれも京都府知事・北垣国道の揮毫である。

トンネルの中に入ると、渦をまくように、ねじれた形にレンガが積まれていた。異空間に入ったみたいで面白い。ねじりは、インクラインを通る船を乗せた台車の重さに耐えるためだという。

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「雄観奇想」の扁額がある、ねじりまんぽ
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レンガが斜めに積まれている

ねじりまんぽを通り抜け、南禅寺の塔頭、金地院の前をとおり、さらに進んだ。風情のある小道が続いている。道の脇に水路があり、ちゃぽちゃぽという水音が涼しそうだ。このあたりの庭園は、琵琶湖疏水の水を使っているところが多い。

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ねじりまんぽを通り抜け、南禅寺に向かう
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南禅寺の塔頭、金地院
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いたるところに水路がある

南禅寺に到着した。重要文化財の三門。いつ見ても大きい。紅葉の季節になると人でいっぱいだが、この日は平日で、すいていた。炎天下で、庭の手入れをされている人たちがいる。ありがたいことだ。

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南禅寺の三門(重要文化財)
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紅葉の季節が待ち遠しい

今日の一番のお目当、水路閣に着いた。琵琶湖疏水の水路橋である。全長約93m、幅約4m、高さ約9m。今は景観になじんでいるが、明治時代にできた時は、人々の度肝を抜いただろうなあ。

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水路閣には13の橋脚がある
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緑に囲まれたアーチ型が優美でうっとり

日陰で汗をふきながら、水路閣を見て思った。

やっぱり、レンガって、好きだなあ。理屈抜きで好きだ。

肩書もない、趣味もない。若さも、思い切ったことをする勇気もなく、ユーモアもなければ人脈もない。ないないづくしで文章を書くため、とりあえず歩いてみようと思い立ち、体力のなさを思い知った。

好きなものなんてないと思っていたけど、いや、あったのだ。

インクラインに回った後、ついでに蹴上発電所と、少し離れたところにある夷川発電所を外から眺め、ゆっくりとレンガの美しさを楽しんだ。
間近でレンガの迫力を味わえる水路閣には、かなわなかったけど。

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船を運行するためつくられた蹴上インクライン
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琵琶湖疏水を利用した蹴上発電所
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夷川発電所




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