読書感想文「カニカマ人生論」
モノマネと言えば、表情、特徴敵フレーズ、声色を本人に近づけ、ステージで披露する。
そんな定義かなと書いてみて改めて自分がそんな認識でいたんだなとわかりました。清水ミチコさんの場合もそうなんでしょうか。
まずピアノで伴奏しているという時点で、他のモノマネタレントとは一線を画している気がします。ユーミンのノーサイドをフルで歌い上げているのを、私は、「いちクスリ」もなく見たことがあります。すべってるんじゃないんです。ですがどこかを誇張したり、鼻の穴を大きく書いたりしているのではなく、大真面目に歌声がそっくりでした。モノマネの域を超えている!そしてそれをテレビでやってしまっている!ライブでやるネタじゃないの?真剣に歌っているのをみて、もうユーミンが乗り移ったんじゃないかと言うくらい似てました。
面白いのももちろんあって、Youtubeでマキタスポーツ氏と「徹子の部屋」での掛け合いは、心地よい違和感がずっと低空飛行しているような面白さです。こちらは衣装もカツラもご本人に寄せていて、徹子さんへのリスペクトを感じます。
テレビで毎日見かける訳でもないから、舞台やラジオに専念されているのかな。ほとんど見たことないけど「夢で逢えたら」に出てたってことは、お笑い芸人なんだろうか。あのダウンタウンに呼び捨てやさん付けされずに「みっちゃん」。特別な感じする~。特にファンでもない私の「カニカマ人生論」読むまでのイメージでした。
あのフル尺ノーサイドの意味が少し分かった気がしました。
モノマネしようとしているのでなく、本気でその人になりたいんですって。憧れや尊敬の念が溢れて無意識的に「その人みたいにになりたい」と思う時ありますよね。私の場合、兄や会社の上司を見て、自分のものに変化しています。ポケットに両手を突っ込んで歩く。太ももの上に片方の外くるぶしを乗せる座り方をしてしまう。口調やよく使う単語もそうです。
(――ところでみっちゃんはユーミンになりたいのか?)
再現しようとしているのではなく、ピュアなんですって。ここが味噌だと思いました。私は舞台「キンキーブーツ」を見て以来ハイヒールを履きこなせるように努力していますが、ネイルしていないし髪型も雑。トータルコーディネートになっていないたいため、周りは違和感なんでしょうねえ。ハイヒール履けるんだと思われたい下心がありますし。そんな時はモノマネの一種である「○○のフリ」を実行すればいいんだと無理矢理こじつけました。
そういえば、私もピアノ発表会で緊張していないフリをしていたな。
しかし、ビジネス書を読むサラリーマンが内容を理解してないのに理解している風に装ってる人いるよな~。ばれてるんだよな~。(いけないいけない私の毒が感想文をややこしくしている。)「○○のフリ」は緊張したり怖気づくシーンのみ有効なんでしょう。
「24時間誰かプロのモノマネしてみたらどうなるんだろう。モノマネになると平気、素の自分は弱虫だし。」読んでいる最中にふと思いつきました。
ピアノ弾いているときは有名なピアニストになりきれば?
クヨクヨがでてきたらアンミカになれば?
今書いているこの読書感想文も林真理子氏になりきって書けば?
林真理子は極端な例だとしても、実行してから誰々になった気分になるのではなく、誰々になった気分で実行する。怖いけど怖くないフリする。こんな少年少女が親に言われそうな簡単なことを、私はこれまた怖がって向き合っていませんでした。
しかし、あの武道館で毎年ライヴしているのに、小学校の頃は気が弱かったなんて書いてあるから、それ乗り越えたエンターテイナーなんだなとわかります。カニのような「本物」を目指す努力が実らなくても、カニカマのような皆に喜ばれる加工品ができている。身近にで安く買えて、緑のサラダに目に楽しい赤と白を差してくれます。それはもうカニとは違う別の新しい価値を生み出しています。でなきゃ武道館でライヴできない。
私もいつまで経ってもクヨクヨしてられない!人前でピアノ弾く前は緊張しますが怖くないフリフリ。
でもやっぱり緊張して手が震えるんだよな~。
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