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名作劇場「童話の世界から:日本編」vol.13「かさじぞう」
むかしむかし、あるところに、貧乏だけど心優しい、おじいさんとおばあさんがいました。
ある年の大晦日(おおみそか)二人でかさを作りました。
それを町へ持って行って売り、お正月のおもちを買うつもりです。
家を出てまもなく、雪が降ってきました。
雪はだんだん激しくなったので、おじいさんはせっせと道を急ぎました。
村はずれまで来ると、お地蔵さま(おじぞうさま)が六つならんで立っています。
これを見たおじいさんは、そのまま通り過ぎる事が出来ませんでした。
おじいさんはお地蔵さまに、売るつもりのかさをかぶせてやりました。
でも、お地蔵さまは六つなのに、かさは五つしかありません。
そこでおじいさんは自分のかさを脱いで、最後のお地蔵さまにかぶせてやりました。
家へ帰ると、おばあさんにお地蔵さまのことを話してやりました。
「まあまあ、それは良い事をしましたねえ。おもちなんて、なくてもいいですよ」 おばあさんは、ニコニコして言いました。
その夜、夜中だと言うのに、ふしぎな歌が聞こえてきました。
♪じいさんの家はどこだ。♪かさのお礼を、届けに来たぞ。
ズシーンと、何かを置く音がして、そのまま消えてしまいました。
おじいさんがそっと戸を開けてみると、かさをかぶったお地蔵さまの後ろ姿が見えました。
そして家の前には、お正月用のおもちやごちそうが山のように置いてありました。
笠地蔵の舞台といわれる地域は全国に数箇所ありますが、そのうちの一つが
岩手県一関市花泉と言われています。
出典は不明ですがよくある昔話の一つで、善い行いをすれば、やがてその善行は返って来るお話で邪で打算的な考えは持たぬことです。
地蔵信仰の無い沖縄地方以外[日本各地に広く分布している話で、神社縁起と関連しているものもあります。
地域によって様々な話があるようです、逆に非常に身近な昔話ってこと。
子どもに読み聞かせる昔話としておなじみの笠地蔵は、仏教的な下地を持った「慈悲の心」を伝える物語でもあります。大人になって読んでみると、
優しい気持ちになれるだけでなく、普段の生き方を振り返る良い機会にもなりそうです。
少しは童心に帰り心を純粋にして受け入れたい話であります。
既に汚れ切った邪悪な魂となっている可能性がありますので・・・?