今月の言葉(令和三年二月)

お寺の掲示板「今月の言葉」
 
  「どうでもいい」とか
  そんな言葉で汚れた心 今 放て
  春の歌 愛と希望より前に響く
  聞こえるか? 遠い空に映る君にも
            スピッツ「春の歌」

 今月の言葉はスピッツというバンドの「春の歌」という曲から引用しました。
 今年の節分は一二四年ぶりに二月二日ということでしたが、立春を迎え、暦の上では春となりました。そこで春にちなむ言葉を探していた時に、ふとこの歌のことを思い出しました。
 私の故郷、北海道の春は四月の中ごろからやってきます。一面が雪に覆われた冬の間は、静寂な空気があたりを支配しています。春になり、雪がとけて、地面が顔を出すと、川の流れ、鳥やシカ、あるいはキツネといった野生動物の鳴き声が、歌のように聞こえてきます。それは命の躍動の音です。
 私たちの心は、日々のストレスや不安、あるいは後悔など様々な思いが募ると、命の輝きが失われていきます。そんなときは、自然が奏でる春の声を聴きましょう。木々や生き物、あるいは風、それぞれの声が重なれば歌となり、その歌は私たちの心に響き、命が輝き始めます。その命が愛や希望を持つための土台となります。私たちの命の輝きもまた一つの声。そんな声が一つ、二つと発せられ、やがて歌となり、遠い空の向こうへと届いていく。あなたの命の歌を聴き、笑ってくれる人がいます。この春は、身近な春の歌に耳を澄ませてみてください。きっとあなたの命も輝き始めます。

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