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【お食事】生八つ橋を食べ比べてみる。
テーマ:生八つ橋、結局どれが一番おいしいの。
企画趣旨
生八つ橋好きなんです。皮だけ売ってるやつをよく買うけど、なんか5個入りを売ってたので、大御所の『本家西尾八ッ橋』、『商標登録聖護院八ッ橋』、『夕子』のニッキ味をそれぞれ買ってきました。
事前に色々御託を述べようとチラッと思ったけれど、そんなものはつまらないので後に回す。
とりあえずパケ。
![](https://assets.st-note.com/img/1736322215-3PyUdqI15ahpJejNZWKl0CxG.jpg?width=1200)
食べ比べ
開けてみた。ジャン。
![](https://assets.st-note.com/img/1736322258-5fkMhx9q2Iiuavme4gWToQU0.jpg?width=1200)
結論、正直なところ、味の違いはさほどなかった。僕の舌のクオリティは低いのかもしれない。夕子が一見ぎゅうぎゅうで量が多いようにみえなくもないけれど、パッケージが他より小さいから同じくらいかなと思う。
西尾(本家西尾八ッ橋):一番ニッキ感と豆感がある。
聖護院(聖護院八ッ橋総本店):牛皮が滑らかで全体的に無難な感じ。
夕子(井筒八ッ橋本舗):比較的あんこのうまみ推し。
とはいってもそれは並べて比べて相対的に違いが判った、なものなので、個別に区別して買うほどの違いは見いだせなかった。僕の舌が馬鹿な可能性もあるので、繊細な舌をお持ちの八ッ橋マイスターなら明確な違いが見いだせるに違いない。
裏の原材料をみてみる。
西尾:砂糖(国内製造)、米粉、小豆、きな粉、桂皮油/酵素、(一部に大豆を含む)
聖護院:砂糖(国内製造)、米粉、小豆、きな粉(大豆を含む)/酵素(大豆由来)、香料
夕子:小豆あん(砂糖、小豆、寒天)(国内製造)、米粉、砂糖、きな粉、桂皮末(ニッキ)/トレハロース、酵素、(一部に大豆含む)
個人的に西尾と夕子の酵素のあとの読点の位置が気になる。この()はどこにかかっているのか。
夕子の色がいささか濃いのはきな粉が多いからだろうか。夕子にだけ寒天が入っているのが特徴といえば特徴で、それがあんこのうまみに繋がっているのかもしれない(けどよくわからない)。
蘊蓄(八ッ橋訴訟等)
八ッ橋のこの三家はガチバトルしている。
西尾は『八つ橋発祥300年の家(1689年)』、聖護院は『創業元禄二年(1689年)』、井筒は『創業文化二年(1805年)』を主張している。
このように井筒は他2社に比べて歴史が浅いのだが、井筒が聖護院に対して元禄二年創業は信憑性がないからこれをドンと掲示して販売しているのは不正競争防止法違反だ、として提訴した。
不正競争防止法というのは業者間の公正な競争を目指す法律で、平易にいえば「根拠もないのに1689年創業と表示して販売するのは買う人を誤認させることになるからよろしくない」というものだ。
聖護院は1689年創業とパッケージにも看板にものれんにも歌っている。
井筒側の主張の根拠は色々あるけれど、聖護院は大正15年に営業譲渡を受けたが、譲渡した人間は創業不明と認めている。聖護院が1969年に作った冊子にも創業年不詳と書かれていることが大きな根拠になっている。つまり元の所有者が不詳だと言っているのにわかるはずがないだろ、的な。
江戸時代の八橋検校やら本当の創業時期やらについては裁判の結論にあまり関与しないので今回は割愛。
それで一審の京都地裁で争われたのは、
①そもそもこれは不正競争防止法の問題なの?
②仮にそうだとして、1968年創業だからと誤解させて買わせてるの?
というところだ。
前提の①は品質や内容に関する表示は間接的なのも含む(一般的に)前提で、販売開始年はこれに含まれるとして次にうつる。
問題の②は、江戸時代のことなんてみんなはっきりとはわからないし厳密に1968年ということを前提にみんな買っているわけでもない。八ツ橋以外の新しい菓子もよく売れてるし、創業が1968年かどうかは買う人に対してそこまで重要な情報ではないので、これで間違って買うっていうのはちょっと無理。みたいな判決。
地裁判決を読んでみたけど聖護院側が『消費者は創業年月に関心などない』と主張しているのはなかなか興味深い。というか創業はともかくとして、八ツ橋自体が名物となったのは明治以降らしい。個人的には創業が重要なのは創業からずっと銘菓とかそんな場合じゃないかと思う。
なお、僕が読んだのは判決文だけなので、訴訟内の詳細な主張合戦や証拠は不明です。
多分歴史と伝統を重視する人々には受け入れがたい判決だと思うのだが、多分これには大きな勘違いがある。不正競争防止法の目的はあくまで『公正な取引』で、それによって『一般人』が誤認して買ったりしちゃわないかということだ。しかも取引というのは同じまたは類似市場の平均概念をベースとするので、お土産や銘菓を買う人たちの平均を取れば何年創業とかで買っている人は多分、ほとんど、いない(絶対いないとはいわない。そんなアンケートも提出されているようだ。
それで井筒は大阪高裁に控訴した。
①については京都地裁と同じで略。
②についても結論は同じで、不正競争防止法のこの条項は、買う人が問題としている情報(今回は1689年創業)を品質や内容と関わるものだと明確に認識したうえで買うものであって、それを誤認させることが必要だと判示する。つまり「これは創業1689年だ! そうじゃないと買わない!」みたいな客。……あんまりいないよな、うん。
そしてこの誤認する内容自体が客観的に本当か判断できる(つまり嘘だと確定できる)必要があって、今回のように言い伝えとか伝承では買う人もはっきり認識して買っているわけではないので法律の対象にならないよ、と判示した。
井筒は最高裁に上告したけど上告不受理。これは門前払いってこと。
そもそも最高裁は法律判断しかしない(本当の創業年がどうだとか個別の事実について判断はしない)ところで、もしそんな言い伝えが本当かみたいなところで争えるようにしちゃったらもう面倒くさくて仕方がないし(最高裁の判断は法律に準拠して扱われるから、あやふや訴訟が大量提起されることになる)法律がどんなときに適応されるかさっぱりわからないから不受理も妥当だろうと思う。
この訴訟より前にも聖護院が西尾に「本家八ッ橋聖護院西尾」という名称を使用しないよう提訴したことがあり、西尾が「聖護院」の名称を使用しない内容で和解している。和解は判決じゃないので見れる形で記録は残ってないから裁判内容が気になるところ。
結論
すっげー胸焼けした。
僕としてはどうせなら味で差別化してほしい……。
生八つ橋は何も入ってない皮だけが好き……!
どうせならもっと味に差別化させたほうが売りやすいと思うのだけど、新しいのは出ないのかな。新しいと言えば生八つ橋コーラ味を見た。食べたい。
注意書き。
「Thinking Time」は深夜にだらだら連ねたどうでもいい駄文をまとめたり謎の企画をやってみようなシリーズで、僕の頭に浮かんだことですから根拠とかは有りませんし、おおよそは妄言です。それに多くが結論があるわけでもない投げっぱなしです。また、テーマにかかわらず政治的主張や何かの陣営に与することを意図するものでは全くなく、そう解釈される場合は僕が歴史上の事実(思想ではない)をそのように認識しているだけか、僕の書き方が悪いということです。異論はとてもみとめるし、だいたいはすごく回りくどい。