5回表「サヨナラ夏の日」


出社日、やや忙しそうにぞんざいにカギを開けてくれましたが、ジュニアエクイティトレーダーとしてのスタートです。最初は簡単な合併トレードから。あとはCBアーブという感じ、CBはたくさん扱ってきたし、親近感沸いているし、開発した人すごいなーと思うくらい、いい商品だと思います。IZさんは頭の回転も非常に速い人ですが、ものすごく勉強していて当初のノートも見せてもらいました。それでも私はまだわからないながらも、エクイティの方に関しては、徐々に面白みを感じてきました。ただロシア危機の影響で、ボーナスが本当にゼロだった経験もしました。ボーナスはあるはず、という日系的な感覚は、やはり外資ではありえないということを痛感しました。その後はボーナスなどはあてにせず、もらえるだけ個人も会社も儲けていれば、という感覚は身につきました。なのでボーナス一括払いなどは怖くてしたことないです。(リボもないですが。。)

途中で債券の方にも移るのですが、優秀なみなさんに教えてもらいながらも、正直なかなかなじめなかったです。戦略としてはカーブトレードや、ショートベーシスなど、アウトライト以外のシンプルなものですが、JGBだと何せ数字ばかりの世界なので、Equityからくると、前日と比べてどうかというだけでなく、大局的にはどうなんだろう、と思うことはありました。わかっていないわけではないけど、気持ち的に盛り上がらないという感じでした。なので、周りのプロの方と話していても、なかなか自信を持てていないことはありながらも、ただ皆さんもそこまで深く考えていないときもあるんだろうな、ということもわかりました。銀行でトレーディングやっている大学同期と話すこともありました。日中話すこともありましたが、やっぱり立場によって感覚が違うのかと、売りがあれば買いもある。表と裏で成り立つ。しかし思惑は様々。オプションを売る。Writerって良くできた言葉だな。と思っていました。とはいえさすがにチーム運用、LDNのApprovalも必要なので、個人プレーなどはできない感じです。
NKさんは面倒見のいい方で、よく会社帰りに飲みではなく、喫茶店に連れて行ってくれて、仕事やExcelの基本の話や本音トークなどもしてくれました。週末も自宅のBBQに呼んでくれたり、良い兄貴分でした。この方も気づかいはするのですが、自分のしたいことをする、という醤油顔かつ怒ることのない端正な風貌とは裏腹の熱い方でした。ソフトボールをやったときは三塁に私がいたので、ことごとくサードゴロに仕留めて(ソフトボールは野球経験者ほどサードゴロになりやすい)、その時は星野監督のようにぶつくさ言っていましたが。
こちらもジュニアとは言え、多くの証券会社の方々が朝方情報をくれたり、たまにはランチや飲みにいったりもして楽しい経験もしました。ただ、特に債券運用では、私の理解力のなさもあるのですが、ちょっとゲームプランが崩れる大変なことが起こった時にそれをすぐに理解できていなかったこともあり、しこたま怒鳴られました。
おそらくそんな中で適性も見ていた方もいて、PTさんの社内での新たなチームに異動することになりました。社内でテストみたいなのをするのですが、ホワイトボードで簡単なレクチャーを受けた後のものなので、さすがに大丈夫でした。面接も大事ですがテストもやはりファンダメンタルなので大事ですね。
結果的には適性を見抜いてくれたというのは見栄えがいいですが、Tradingは向いていないだろうというところを見抜いてくれたことが大きかったのではと思っています。ただこれは後々の流れを決める大きな流れでした。波乱のスタートから始まりましたが、過去に戻ることはできず、背負って生きていく大きな転機もありました。先発から抑えに回って活躍するという感じでしょうか。
5回を終われば、責任投手です。現実を受け入れ、せざるを得ないと腹をくくったのです。27歳。もうルーキーでもないし、新人王の資格もありません。

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