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生理とIBDの関係|悪化を防ぐためにできること


はじめに

「また来たか……。」
生理が始まるたび、そう感じる人は少なくないでしょう。
憂うつになったり、お腹が痛くなったり、気持ちが不安定になったり。
そして、炎症性腸疾患(IBD)を持っている人にとっては、腸の調子まで影響を受けることもあります。

「生理前からお腹がゆるくなる」「生理中は血便が増える」「PMSがつらくて、IBDまで悪化する気がする」
――こうした悩み、もしかして自分だけ? と思っていたら、実は同じように感じている人がたくさんいます。

IBD(潰瘍性大腸炎やクローン病)は自己免疫疾患のひとつ。
生理前後のホルモン変動が症状に影響を与えることについては、まだ研究が進められている段階ですが、多くの患者さんが「確実に関係している」と実感しています。

では、どうしたら少しでも楽に過ごせるのでしょうか?

生理とIBDの関係|なぜ症状が悪化するの?

女性の体は、ひと月の間にホルモンバランスが大きく変化します。

  • 排卵後~生理前(黄体期):プロゲステロン(黄体ホルモン)が増え、腸の動きが鈍くなることがあります。この時期に便秘になりやすい人もいれば、腸内バランスが崩れて下痢になってしまう人も。

  • 生理開始後(低温期):エストロゲンが減少し、腸が過敏になりやすい時期。お腹の痛みや下痢が悪化することがあります。

IBDの人はもともと腸が炎症を起こしやすいため、こうしたホルモンの変化に敏感に反応しやすいのかもしれません。
加えて、PMSによるストレスや痛みも症状を悪化させる要因になります。

症状を和らげるためにできること

1. 自分の周期を知る

まずは、生理周期とIBDの症状の関係を把握することが大切。
手帳やアプリを使って、生理前後の体調の変化を記録してみましょう。
どの時期に調子が悪くなりやすいのかが分かると、対策が立てやすくなります。

2. 食事の工夫をする

  • 生理前は食物繊維の摂りすぎに注意:便秘を防ごうとして、不溶性食物繊維(玄米・豆類・生野菜など)を多く摂ると、かえって腸に負担をかけることも。水溶性食物繊維(オートミール・バナナ・じゃがいも)を意識すると◎。

  • 鉄分を意識する:IBDの人は貧血になりやすいため、生理中は特に注意が必要。レバーやほうれん草、鉄分強化食品を取り入れてみるのがおすすめ。

  • カフェイン・アルコールを控える:生理中は腸が敏感になっているので、刺激物を控えることで症状が落ち着くこともあります。

3. 痛みとストレスを和らげる

  • 体を温める:腹巻きやカイロを活用し、お腹を冷やさないようにすると、腹痛が和らぐことがあります。

  • 適度な運動をする:軽いストレッチやウォーキングは腸の調子を整え、メンタル面にも良い影響を与えます。

  • 漢方やハーブティーを試す:PMSや腸の不調に効果があるとされる漢方(当帰芍薬散や加味逍遙散など)や、カモミール・ペパーミントティーなどを取り入れてみるのもいいかもしれません。

それでもつらい時は?

「生理+IBD」のダブルパンチがどうしてもきつい時は、無理をしないことが大切。

  • 婦人科でホルモン治療を相談する(低用量ピルなど)

  • 消化器内科に相談し、症状に合った薬を処方してもらう

  • 思い切って仕事や家事を休む

「生理だから仕方ない」「IBDだからしょうがない」と我慢しすぎる必要はありません。
つらいときはつらい。
無理をせず、自分に合う対策を探しながら、少しでも快適に過ごせる方法を見つけていきましょう。

さいごに

私たちの体は繊細で、ホルモンや腸の状態に影響を受けやすいもの。
だからこそ、自分の体をよく知り、いたわることが大切です。

「また来たか……。」と思いつつも、「まあ、なんとかなるか」と思えるように。生理とIBD、うまく付き合っていきましょう。

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