紅葉から
紅葉から秋は深まる。
落葉樹は、春、柔らかい日差しの中で温かさを感じ始め厳しい冬から目を覚ます。そして、落葉樹は、新しい芽を出して、やがて芽吹いたところに花芽が出る。花芽は育ち花を咲かせる。何にも負けない綺麗な花に人間は、魅せられる。花が終わると花びらが風に舞い最後の瞬間まで人々を驚かせる。
夏になると青葉の季節。これ見よがしと青葉を茂らせ、木々の日陰に人間を暑さから救ってくれる場所を作る。
そして秋、実を付ける木々が現れる。その実は、待っていた鳥や動物たちの食物になる。日差しは柔らかくなり徐々に気温が下がり、また表情を変え、綺麗な赤、黄色、橙色に葉は色付き、「自然の美しさを見ておくれ」というように紅葉していく。
そして冬、木々たちはまるで眠りにつくように静寂な世界がやって来る。
色を変えた木々の葉は、枝にさよならして地に落ちる。地に落ちた葉は、やがて土と一体化して栄養のある土に変化する。自然の営みは、地に木が生まれた時から続いている歴史的遺産にも思える。毎年、毎年、繰り返す恒例行事のようなものだ。自然は時に私たち人間を怖がらせる暴挙にでる。
私たちは自然に抗えない。それゆえに自然に生かしてもらっている現実を知り、刃向かうことをしてはいけない。
里山の風景をもう一度見たい。自然と人間が互いに譲り合い出来たその姿を見てみたい。紅葉から、そんなことを考えました。