レジリエンス的な速度感の違い

レジリエンスという言葉を耳にする機会が多くなってきたように感じます。もともとは、物理学的な用語で、反発性や弾力性を示しているようですが、転じて、心理学では、人間関係や人間関係などのストレスを受けて、また元の自分の姿に戻れる力をさしたり、災害時に、今まで通りの生活を送ることができる力のことを言います。例えば、ある地域では電気の復旧に5日かかったが、ある地域では1日で復帰した場合、後者の方がレジリエンスが高いというふうな使い方をします。

生活をしていく中で、ストレスを受けるのは当たり前であり、自然災害もいつかはわからないが必ずやってきます。近年であれば、株価の大暴落は10年に1度くらいの頻度で訪れています。日本的な視点で言うと、リーマンショック、大震災、感染症、というふうに姿形は違えども、経済を大きく揺るがしています。今回の感染症で、経済と実際の生活がいかに密接に関わっているかを実感した人は非常に多いでしょう。

レジリエンスの視点から眺めると、新聞などのメディアは、レジリエンスが低い部分に焦点を当てがちです。なかなか給付金やマスクが配布されないということを報道しているのは良い例でしょう。

今回の文章では、個人的に、レジリエンスが高いと感じさせたものをご紹介させていただければと思います。

一つ目は、高島屋です。三越や松屋などの名だたる百貨店はありますが、もっとも迅速に行動できていた百貨店に感じました。飲食売場は、閉店していた店舗もありますが、自粛期間中でも十分な配慮のもと営業を続けていて、自粛明けの段階的に解除されたときも、解除された当日に営業を間に合わせるように尽力していた姿が個人的には印象的でした。

二つ目は、小さな映画館です。ハリウッドなどの超大作や、日本内でのビックタイトルに属する映画は、未だに公開が未定の作品が多いです。しかし、小さい映画館では、現在、新作が意外と公開されています。実際は、海外の小さな映画賞をとったり、興行収入が良かった作品で、あくまで日本での上映が初めてという作品であったり、ビッグタイトルは東京で上映してからではないと地方で上映できないという暗黙のルールの影響がなかったりするからなのだと思いますが、それでも大型の映画館よりも目新しい作品を上映できているのは、非常に頼もしく感じております。

三つ目は、個人事業主給付金です。制度上には、税金の中抜きがされていたようで、問題が目下発生中ですが、個人的には迅速に給付金が行き渡っているように感じています。私も実際に申請してみましたが、1週間で不備の連絡が来て、翌日に不備を修正し、その1週間後に振り込みを確認できましたので、申請後1週間くらいで、入金され、審査自体もそんなに厳しくないわりには、かなりの高額を手にすることができる制度だと感じています。もちろん、こういうのは事業内容にもよる部分も大きかったり、実際に自粛が始まったのが2月くらいだったことを考えると6月では遅すぎると言えるのかもしれませんが、全世帯向けの給付金の速度感と比較するとかなり早い印象を受けます。

レジリエンスが低い話で、みんなで叩き合っても、それはさらに気が滅入る機会を増やすだけで、そのために、メディアやSNSから遠ざかったという話を、ちらほらネット上を徘徊していると見ます。こういう話はニュースにしてもつまらないから出ないのだと思うのですが、心を痛めずに知識を吸収するには、こういった目線で、興味深い記事が増えてもいいのではないでしょうかね。


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