
転職活動終わり!の感想
先ほどオファー面談と内定受託をしてきました。
転職に際しての感想をちょっと書いてみます。感想なので誰かの役には立ちません。公務員転職のノウハウ的なものは、後日別途纏めてみます。
今の会社をやめる事が確定してから、いつものオフィスが全く違うように見える。体はとりあえずここにいるけど、本当の自分はこの檻の外にいるぞ!、っていう気分。ふわふわして気持ち良い。これが俗にいう無敵モードなのだろうか。上司に退職の意向を伝えると、ステップアップという事で応援してもらえた。色々気にかけてくれていた上司なので、感謝と申し訳ない気分で心臓にくる。
他の同僚にはまだ秘密なので、心の中でさよならを言い、省エネモードで仕事を消化しつつ、こっそり引継ぎ資料を作っていく。これは現代日本でサラリーマンをやる上で得られる、最大の幸福感かもしれない。
転職活動を始めたのは去年の6月くらい。大体半年強なので、時間がかかったほうな気がする。
現職は仕事内容も好きだし、人間関係も良好(仮)だった。しかし、仕事を辞めることにしたのは、「自分の人生を取り戻したい」という感情が最も大きな動機だったと思う。
今まで現職は東京都庁なのだけど、新卒の頃から聞いていたパワーワードが、「都庁人生」という単語だ。先輩方と飲んでいると、我が社(公務員は自分たちのことをわが社と呼ぶ)でどういう立ち回りをして、どういうキャリアを歩んで退職していくかみたいな話を「都庁人生」という文脈でよくされるのだが。この言葉には常に違和感があった。「都庁と俺の人生を勝手につなげて単語にするなあー!」ってな感じで。
恐らく、こうやって集団の一部に馴染んでいくことに対して快感を感じることが、公務員の一番の適性である。僕は馴染むことは「できる」部類ではあったが、そこに快感は感じるものではなかった。
20代の自分は、正しい正しくないという直線的な考え方しかできなかった。故に、自分が受け入れられていないことが異常で、周りのしっかり働けている人が正しいんだろうなとぼんやり考えていた。しかし、表面上は馴染むことはうまくなっていっても、何年働いても快感を感じるようにはならなかった。
今は、僕は自分の人生は自分でかじを取って生きていきたいという価値観の人間だったからなのだ、と理解している。
転職で一番良かったのは、どういう生き方を選ぶか自分で選択している、という実感を取り戻せたことだ。
難しいなーと思うのは、今は組織の外から自分を見つめているからこうやって言語化できるけど、内部にいたときはそういう自分の価値観を自覚をすることが難しいという事だ。僕の場合は仕事に具体的な不満もなかったから特に。
ふわふわした自分の価値観を意識化できたのは、やっぱり自己分析だ。MBTIは何が良いかっていうと、自分と違う思考回路が存在しているという事を、デフォルメして端的に学べるという事だと思う。
僕はSJ的な発想の人間は世界に存在しているわけがないと思っていた。周りの社会人は皆、「大人だからがんばって」、会社の歯車になり、責任回避をし、ていると考えていた。しかし、根本的にそっちの方が安心できて自然な思考回路な人たちがいる(むしろ多い)、という事を学べたからこそ、自分が特に無理をしているという事を認知することができた。
その認知が最初の定義となり、じゃあ自分はどうしたいのか?自分には何が向いているのか?という風に、演繹的に自分を取り戻していくことができた。それが具体的に転職にまでつながったので非常に満足である。
しかし、これは極めて運が良かった。
例えば、僕が5年前に「普通に結婚」とかしていたら、このnoteも書くことはなく、自己分析をする必要もなく、「都庁人生」を送って「普通に幸せ」になっていたと思う。そしてそれは不幸でもないし、僕の生まれた時代の価値観から言ったら、極めて立派な生き方だ。
僕が見てきた「普通の同僚」達も、僕のように違和感がありつつも、流れ着いた結果普通として生きている人たちが、その内にたくさんいるのだろうなと思う。
やはり、公務員の安定した仕事というTe的重力場は極めて強く、頭だけ使って生きていると、その影響範囲から逃れることは容易ではない。第二宇宙速度を得るためには、とても強い動機付けが必要なのだ。
僕はそういう動機づけができたという事がとても幸運だった。
なんだかんだ言って結局、幸運だなという感覚が一番強い。自分の計画通りとか自分の能力だとかではなく。(これはP型の特徴だろうか。)
色々自分なりに努力はしたけど、僕は努力できた事は結果だという価値観の人間だ。最初のトリガーは、巡り合わせによってふと視野が広がったことである。その上で、たまたま自己分析で適性があり、心から面白そうだと思えて、自分の経験も生かせるような仕事を見つけられた。それはもう僕のコントロールできる物ではなく、偶然の積み重ねだと思う。
その偶然によって自分の人生を取り戻せたのは本当にありがたい。今後定年まで勤めるのかはよくわからないし、想像を超えてブラックの可能性とかもあるけど、どういう未来になったとしても自分の人生を選択できていると感じながら働いていけるのではないかと思っている。それは僕の価値観からすると、何よりも幸せなことだ。
ということで、世の巡りあわせの面白さを感じつつ、残り二か月の無敵モード期間を楽しもうと思う今日この頃だ。