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最終面接でENFJの人事力に圧倒されてきました

 先日ある会社の最終面接を受けてきたんですが、ENFJっぽい感じで人事の神髄みたいなのを感じられ感銘を受けたんで、記事にしてみます。


一人目の面接官との面談

 今回は四回目の面接。今までは配属となる部署の上司みたいな方、つまり理系の人たちとの面接をやってきたんだけど、最終面接で人事担当の偉い人二人と面接をしてきました。普通は順番が逆のイメージなので不思議な感じ
 多分、キャリア的能力というより、僕の人となりを見て、組織の中での人として、どのような影響を及ぼし及ぼされる人材なのかを解析するための面接なのかなと予想。最終だけどオンラインだった。

 面接官は軽い自己紹介をしてから、上司っぽい人が何故か画面をオフにして、サブの人との一対一の会話になる。

 想像通り、キャリアや能力的な質問は特に詳しく聞かれず、僕の生い立ちや価値観に関する掘り下げをされた。
 なぜ建築のキャリアを選んだのかとか、なんで留年したのかとか。(必修のフランス語が嫌いすぎて倦厭してたら1点足りずに赤点取りました。)
 将来の事をどうしたいかとかは思い付きでぽんぽん喋れるんだけど、昔の事を細かく問われると、すごく困る。過去の自分は自己分析とかしていなかったので、今の自己分析と矛盾する行動をたくさんとっている。なぜ?と問われると一貫しなくて、なかなか難しいことが多いのである。
 「それはバカだったからですね」、と答えたいような行動もいっぱいあって。EP型なので。
 まあこれらは、そういう準備が難しい質問を投げて、素の性格を推し量ろうとしているテストなのだと思った。

ENFJ発見

 ところで、質疑応答をしながら、この面接官の表情とか反応の仕方、どこかで見たことあるぞ?と思った。本気で相手に興味のベクトルを向けて、作り笑顔と思うほどニコニコして、リアクションが大きく、存在を全肯定してくれて、若干胡散臭い感じ。

 あ、ENFJだ!

 MBTIの公式セッションの時にENFJの方が何人か参加していたのだが、彼らは特有のやりすぎのキラキラオーラ(ただしENTPとも話が通じる)を持っている。
 面接官も同じ雰囲気をまとっていた。
 人が好きで、個人を本質的に理解したいという姿勢が全身に溢れているのだ。人事界隈にはENFJが多いと聞いていたが、まさに適性を活かしているなと言う感じを受ける。

 ※ちなみに、現職公務員の人事はENFJ的な要素はなく、人事はパズル。ルールとか先例とか贔屓で決まる。そういう雰囲気が嫌いで水が合わないなと思っていた事もあり、個人を真剣に見ようと思っている、というだけでかなり新鮮で好印象だった。

戦略的フォーメーション

「今までの応対、非常に興味深く聞かせていただきました」
 面接の三分の二が終わって、上司っぽい人がカメラをオンにして登場する。直接的な質疑応答をしてもらいつつ、上司は黒子になってその様子を観察する形式だったようだ。 

 それはすごく良い手だ。僕も人を見極めるとしたら、カウンセラーと観察者っていうフォーメーションを構築するだろう。カウンセラーと密室の一対一でリラックスして話せるような環境にしつつ、観察者はばれないように観察、受け答えの様子、無意識の反応を客観的な目で分析する。警察の取調室と定点カメラみたいな感じ。
 やはりこの人たちうまい。

 この二人は人間のプロだし、もう胸を借りる感じで良さそう。多分、どういう反応をしても見透かされるから、正直に心を込めて対応するのが最も適切な対応だと理解した。ちなみに、この上司も雰囲気はENFJかENFPのどちらかかなと感じた。

 二人目の方の質問は、より独特で面白かった。
 一つ目は「あなたが今の分野(建築)を選ぼうと思った瞬間を教えてください」という質問。オリジンというやつだ。選んだ理由は後付けで考えられるけど、心が動いたその瞬間はなかなか後付けで作れない。人間形成の核の部分を問う質問だなと思う。
 そう聞かれても、僕には明確な記憶がなかったのだが、相手はテンポよい応答を求めていないのはわかっていたから、黙って深く思案する。よく考えると、10歳くらいの記憶が建築の分野にポジティブなイメージを植え付けていたことを思いだした。
 「小さい頃に記憶に残る大切な経験をお持ちなんですね」
 と全肯定してくれる。話してて面白いし気持ち良い。面接というよりカウンセリングだなと思った。

二人目の面接官の必殺技

 もう一つが、
「あなたの思う自分の好きなところを二つ挙げてください」
というもの。自分の長所や我が社に貢献できるところではなく、自分で自分を好きなところを問う質問。初めて聞かれた。
 人事界のテクニックについては全く詳しくないのだが、これってよくある質問なのだろうか?この面接官のオリジナル質問だとしたらすごく良くできていると思った。

 多分、こういう構造で、論理武装している求職者を武装解除しつつ本質的な心理分析ができるように作られている。

(1)文字通り本心からの好きな点を回答をする回答者については、そのまま心理分析が可能。
(2)「自分の好きなところ」と聞かれて「自分の長所」に変換するなど、ビジネス的回答をする回答者については、
①本心で言っていそうであれば、自分に客観的価値があるから自分の事が好きなのだと考えており、無意識で物質主義的な心理構造が強いことが読み取れる。
②良い格好しようという動機で準備した回答を「準用」しているのであれば、失敗への恐れ初対面の人に心を開きたくない、という無意識の防衛本能の強さが読み取れる。

(なお、挙げる個数が二つなのは、「仕事での長所」=「好きな所」と自然になるパターンが存在しうるから。一回目は準備した回答でも、二回目は本気で自分に問いかけてほしいのだろう。)

 面接官が論理的にフローを作って聞いていたのかはわからないけど、直感的に「相手の本質を推し量れる」と思っており、誰に対してもこの質問をしようとしているのかなと思った。きっと必殺技なのだと思う。
 僕は二人のENFJの胸を借りるつもりだったので、言葉通りに0から考えた。

「人を嫌いにならないところですかね。どんな人にもその人なりの背景があり、強みや良さがあると考えています。なので、誰に対してもポジティブに相対せるところが、自分の好きなところです。」
 アドリブだったけどかなり本心。誰でも好きだし、他責的な考えはなくて公平に扱う。自分がメンタルが安定していることの根源はこれだと思った。

「それはとても素晴らしい点ですね、今までの回答からもその人柄は伝わりました。実は私も自分の好きな点が同じだったので、とても共感できました。」
 すごく共感してくれた。ENFJの笑顔なので若干胡散臭いけど、ENFJならそう思うかもという気持ちが半々。何にせよ悪い気はしない。
 そんな感じで半分カウンセリングのような感じで面接が終わった。

人事にもプロの技術があるみたい

 今回彼らENFJ面接官と話して感じたのが、相手の心の本質を本気で推し量ろうとしているな、ということ。さすがに大組織なので、細部まで細やかに実現されてはいないと思うけど、少なくとも面接においては、主観的な部分に興味を持ってくれているわけで。社員を可能な限り人間扱いしよう、という願いを持っていることは理解できるから、悪い気はしない。
 今までが、「重要なのは客観的な能力で主観的なプライベートな部分なんて顧みる余地はない」という企業文化の組織にいたから、個人に対してそういう温度感で接そうとする人がいるっていうだけで、かなり新鮮だった。

 また、人間と組織に対する研究をしっかりやってるんだろうなと言うプロ意識も感じた。かなり抽象的に、この人の性格はどういう性質だから、どのようなポジションで活躍をしてくれるかという分析をし、それを組織に反映させることを技術的に試みているように感じた。人事の極地はそこにあるよな。
 やっぱり、そのためには誰に対しても無尽蔵の興味と愛情を持っていなきゃいけない。
 理系の技術畑だったので、人事ってただの総務の中のコミュ力高い人たちのグループだよなと考えていたんだけど、人に関する技術の世界の存在を感じられて感銘を受けた。

 最後に、こうやって思わせることも人事の仕事なんだろうなと思う。正直、求職側の立場からすると、こういう人事がいるんであればとても良い社風なのではないかと思ってしまった。
 会社の顔として人をアトラクトするのも、大切な人事の仕事なのだろう。実際、最終面接にこの人事の人らが出てきたら、正直この会社入りたくなってしまうし。
 そういうのも含めての面接の順序だったのかと考えると、その戦略性もすごいなと思ってしまった。

 とりとめのない話になってしまったけど、自分の知らない専門性の世界を垣間見れて、そして類型論で言われてるように、ENFJの独壇場の世界だなと思いました。ENTPは各個人に対しての興味はあそこまで楽しく維持させられないかもしれない。

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