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文学。多様性とあいすること。

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2021年7月の記事一覧

きっと太陽でいたかった(短編小説)

きっと太陽でいたかった(短編小説)

「すごく綺麗なんだ」
 なにが?
 ひょんなことから仲よくなったクラスメイトの、脈絡のない話におれは問う。仲よく、なったのかは正直わからないが、客観的にはそうみえるらしい。高梨とおれは、窓辺でひとり本を読む陰キャと教室の中心でバカ騒ぎする陽キャというちぐはぐ具合なのだが、確実に距離は近づいた。ここ数日、一番連んでいるのはこいつなのだ。開放された屋上はこいつの名のとおり快晴。退屈なほど、のどかだ。

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