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ブッククラブについて 〜これまでとこれからと〜

しばらくnoteを書いていなかったのですが、今日はTwitterに書くには少し長くなってしまいそうなので、これまでのブッククラブとこれからのブッククラブについて書こうと思います。

この記事でいう「ブッククラブ」とは、私がこれまで最初の方は毎週、最近は不定期で土曜日の11:00(中央ヨーロッパ時間)/ 18:00(日本時間)にclubhouse上で開いている「外国語大歓迎!おすすめブッククラブ 朗読付き」のことです。初回がいつだったのかもう覚えていないのですが、多分今年の3月の頭とかだったと思います。最初は「紹介型」のみで開いており、毎回どなたかに本をご紹介いただき、一部を朗読していただく、というような形で開いていました。この紹介型で今まで紹介していただいた本をいくつかここではご紹介し、その後、今後やってみたい試みなどを挙げていきたいと思います。

「紹介型」ブッククラブ 朗読付き

最初このブッククラブを開こうと思ったきっかけは、コロナ禍で特にたくさん本を読むようになったけど、ドイツ語のものばかりしか読んでいないし、最近読んだ本の話をできるような機会もなかなかない、だったらその機会をブッククラブとして作ってみたらどうかしら?というものでした。あとは、一時帰国がなかなかできない中、日本語の本へのSehnsuchtももはや限界を超えそうになっていて、どうせ日本に帰ったらもうマシーンのように本を買い物かごに入れまくるのだろうけど、どうせならその時の楽しみとして、皆さんにおすすめしていただいた本も触りたいしペラペラしたい(でももう待ちきれなかったらKindleでとりあえず買ってしまえ)。とにかく、私とはきっと違う本を読んでいる人たちがたくさんいて、その人たちが面白いと思ったものを私も知りたい!というのもありました。では紹介型にさらに加えて「ちらっと見せる」という要素をつけたらもっとその本に親しみが湧きそう、ということで一部朗読付きにしよう。それでもって、私は自分がわからない言語でも聞くのが大好きだから、外国語ならなんでも大歓迎にしてしまおう。と、いうような感じで、私の欲望をひたすらつめこんだブッククラブを開くに至ったわけです。

最初はどれくらいの人に興味をもってもらえるだろうか?という不安がありましたが、それでも数人の方々が現在までもコンスタントに来てくださっているし、さらにこれまで多くの方に本をご紹介いただきました。本を紹介してくださった皆様に、この場をお借りして心より御礼申し上げます。本当にありがとうございました!

これまで、小説から新書、ドイツ語・フランス語・イタリア語・英語による作品、児童文学、ラノベ、詩、絵本、エッセイなど、たくさんのジャンルの本をご紹介いただきました。私が手に取らなそうな本もたくさんあり、でも読んでみたい!と思うものしかなくて、それだけで私の欲望が満たされている、そして次の欲望が…笑

さて、これまでこの紹介型ブッククラブでご紹介いただいた本をいくつかあげたいと思います。

『留学』遠藤周作
こちらは、三章のそれぞれ個別の物語からなっているのですが、どのモチーフもタイトルの通り「留学」で、かつ場所はヨーロッパ(うち二章はフランス)で、留学背景も全く異なる、さらには時代もまた異なる、というような小説です。あんまりたくさんネタバレはしたくないのですが、私は特に最後の仏文学者として留学した田中の話が一番ぐぬうと来ました。自分にも重なる点があったからかもしれません。彼の葛藤、敗北感、そして絶望・自分への失望なんかも感じられる作品でした。ご紹介いただくまで知らない作品だったのですが、Kindleですぐにポチった最初の本です。

『わが家の人々』セルゲイ・ドナートヴィチ・ドヴラートフ
こちらは実はまだ読めていない(というか多分日本語で手に入れるのちょっと大変かも?知らんけど)のですが、映画にもなっている作品だそうです。ドヴラートフは、亡命作家で非常に若くして世を去ったロシア人作家だそうです。ロシア語には大変興味があるのだけど、ロシア文学を実は全く読んだことがない私、だってロシア文学って重厚なイメージが…という話をしたところ、「これならもっと一般のロシア人の様子がわかるんじゃないかな」とご紹介者の方に教えていただいた作品です。話を聞いている感じだと、ちょっと『ブッテンブローク家の人々』にも似ている?もしかしてモチーフとかを参考にしていたりするのかしら?と思うような感じで、今もまだ読みたいと思っている作品です。「ロシア人っぽいんだよね、人の様子が」と、ロシアでも生活をされていたことのあるご紹介者さんが言っていたので、長年ロシアに思いを馳せる私にはぴったりだなと思っています。

『ガセネッタ & シモネッタ』米原万里
こちらは私自身ずっと前から気になっていた米原万里さんの作品。エッセイですね。こちらもご紹介いただいて即座にKindleで買って読んだ作品の一つ。読んでる途中ひたすら爆笑、あるいはグサッと刺さるような箇所もありました。さて、米原万里さんも残念ながら既にこの世を去ってしまっているのですが、もともとロシア語日本語の同時通訳のお仕事をされていた方です。同時通訳者の思っていること、経験をこっそり覗けるような作品でもありつつ、外国語学習者の方々もドキッとするような言葉が結構あるんですね。ご紹介いただいた箇所のうち一つでドキッとした、というかそういう時期あったかもと思ったのが、外国語や外国文化に接した時の病的反応二通りについてで、1つ目が「それに夢中になって絶対化する」(これ私があったかもしれないやつ)、2つ目が「自国語と自国文化を絶対化する」(こういう人も結構見かけるなあ…)というやつでした。あとは「言語学をやる人が文学を読んでいない」もぐさっとくる言葉でした。でもね、これは逆も然り。文学やってる人だって言語学のことは知らず「いやー難しい発表してたね」って感想しかもらえないこともしばしばなんです。でも、この二つご紹介してくださった方も取り上げていて、うわー!ってなった箇所です。その後実は続けて米原万里さんの別の作品を読みましたが爆笑必至。

その他ご紹介いただいた作品は以下に取り上げる程度に留めたいと思います。

『キノの旅』時雨沢恵一
『存在の耐えられない軽さ』ミラン・クンデラ
"Russendisko" Wladimir Kaminer
『星の王子さま』サン=デグジュペリ
『やさしいドイツ語で読む星の王子さま』サン=デグジュペリ、ニールス・マルテンゼン
"La Dernière Classe" Alphonse Daudet /『最後の授業』アルフォンソ・ドーデ
『風神雷神』原田マハ(上下巻あるようです)
『理性の限界』『知性の限界』『感性の限界』(限界シリーズ)高橋昌一郎
"Holes" Louis Sachar
"piccolo blu e piccolo giallo" Leo Lionni(日本語の『あおくんときいろちゃん』です。)
『レオ・レオーニ 希望の絵本をつくる人』松岡希代子
『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』桜庭一樹
『フィンランド語は猫の言葉』稲垣美晴
"Mein Vaterland war ein Apfelkern" Herta Müller, Angelika Klammer
"Die Sprache des Dritten Reiches. Beobachtungen und Reflexionen aus LTI: Mit einem Essay von Heinrich Detering. [Was bedeutet das alles?]" Heinrich Detering, Victor Klemperer
『二十億光年の孤独』谷川俊太郎(英訳との比較で紹介しました)

*もし「これ忘れてるよ!」っていうのがありましたらこっそり教えてください!

この紹介型は、今後も紹介したい本がある方からご連絡が来次第開催するというようにしたいと思います。皆様のお気に入りの本、是非ご紹介くださいませ!

交流型ブッククラブ

次に始めた新しい取り組みに「交流型ブッククラブ」があります。これは厳密にいうとブッククラブではないのかもしれませんが、読書を巡るさまざまなテーマについておしゃべりしましょう!というかなり緩い会として始めました。また、この中で、Kindleのセールの中で気になる本を言い合おう!という回もありました。

これまで話したテーマは色々ありましたが、特に印象に残っているのが、『読書について』というショーペンハウエルの本をもとに、「あなたはどうやって本を読みますか?」ということについて話し、さらに「本を読んでも内容を忘れてしまうことについてどう思うか?(本を読んでも内容を忘れてしまうことって果たして意味があるの?)」という話題に掘り下げて語り合ったことです。

これは誰も準備する必要がなく、とても気軽にできたので、今後もできるだけいろんなテーマで交流会を続けられたらいいなと思っています。もし「こういうことについて話したい!」という話題がありましたら、是非是非Twitterやこちらnoteよりご連絡ください。

これからやってみたいこと「課題図書型」と「輪読型」

さて、ここからはこれからのブッククラブで、是非やってみたいなと思っている取り組みで、「課題図書型」ブッククラブと、「輪読型」ブッククラブです。

課題図書型ブッククラブは、既に第一回目を9月4日に予定しております。課題図書には、今年芥川賞を受賞した『彼岸花が咲く島』を、独断と偏見により選びました。というのは冗談で、比較的短時間で読めるのと、話題の作品であるというのと、感想がたーっくさんありそうだな!と思ったからです。尚、課題図書型では、感想を言い合うという回になりますので、感想言いたい人は是非読んできてもらったら嬉しいです。そしてネタバレももちろんありで感想言い合うので、読んでないけどネタバレが大丈夫な人、読んだけど感想言い合うのには参加せず聞き専でという人はぜひ聞きにきてください。

これは当日にも言う予定ですが、あくまで「感想を言い合う場」であり、誰かの感想をなじったり、「それは違うと思う」というような議論をする場ではありません。どんな感想も、その感想を持った方のものであり、全て正しいと私自身は思っています。確かに気に食わない、自分は好きではない感想があるかもしれませんが、それは人それぞれ感じ方が違うという面白さの一つでもあります。そういう発言が起こり次第、その人はスピーカーから下げますので、そちらのみ予めご了承下さい。

この回は2ヶ月に1回くらいでやりたいなと思っていますが、外国語の本だと少し時間かかったりもするかもしれませんので、読む本によるかなと思っています。「この本を読んで一緒に感想言い合いたい!」「自分は好きな作品なんだけど、みんなはどうやって読むのか、どういう感想を持つのか知りたい!」というような作品がございましたら、是非Twitterかこちらでご連絡ください。

最後に、「輪読型」について、これはまだ開催の目処が立っていませんが、是非やってみたいと思っている形式でのブッククラブになります。「輪読とはなんぞや?」という方のために説明しますと、いろんなやり方があると思うのですが、本の章ごとに担当者を決めて、その担当者の方に内容をまとめてもらう、外国語の本を扱うのであれば例えば簡単な内容の訳だったりを作ってきてもらい発表してもらい、最後にその章についてみんなで議論するというものです。

参加する人ももちろんその章を読んでくることが前提になります。じゃないと最後に議論できなくなっちゃうから。ちょっと学生時代のゼミとかを思い出すかもしれません。でもクラブハウスでやるということは、音声のみに頼る、という感じになりますので、みんなに配るためのレジュメの準備もいらないし、あとは好きにやってくださいという感じです。

この輪読型では、分科会として皆さんに作ってもらいたいなと思っています。というのも、みんなが読める、あるいは読みたい言語も違うだろうし、その言語ができる人たちで進めてもらったら一番効率が良いからです。読みたい本も集まった皆さんで決めてもらって、皆さんで開催日時や頻度を決めてもらう。それが一番皆さんにとっても楽しいだろうなと思います。

なので、輪読型開催の目処は立ってないとは言ったのですが、この言語でやりたい!という人がいたら、もうどうぞどうぞ!クラブハウスでやるのはちょっと、という人もいるかもしれませんから、そういう場合も皆さんで話し合って好きなようにやってもらえたら嬉しいです。一応どういう輪読の会があるのか知りたいので、輪読の会が成立したら私にTwitterかnoteで教えてくれるとありがたいです。

…とはいえ、いきなりポーンと投げ出されるのは困る!ということもあるかと思います。今のところ、私ができる言語で申し訳ないのですが、ドイツ語と英語で試しに開いてみようかなと思っています。ドイツ語では、かの有名なドイツ語そのものに関し批判的に取り上げたBastian Sick氏のコラム集"Der Dativ ist dem Genitiv sein Tod"第一巻を、英語では以前紹介していただいた児童文学Holesを読む輪読会を開いたらどうかな?と考えています。

日本語をはじめとするそれ以外の言語は、上記の通り、読める人、読みたい人で集まってもうどうぞご自由に!!!!!というスタイルです。こういうの開きたいんだけど、勇気が出ないので相談したい、という方、是非私にご連絡くださいね。クラブハウスのチャットからご連絡いただくという方法もありです。

今日はかなり長くなりましたが、ブッククラブの今までとこれからについて書いてみました!気になることや、ブッククラブ内で他にもやってみたいことがある方、交流会で話したいテーマや、紹介したい本がある方、輪読で読んでみたい本や、言語がある方。どうぞお気軽に私までご相談ください!

*今回の表紙はmizutama_blueさんからお借りしました!ブッククラブにぴったり!素敵な作品を使用させていただきましてありがとうございます。

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