【読書日記】吾輩は猫から見た人間である(夏目漱石『吾輩は猫である』)
いつぞやも書いたが、自分が物を書きはじめたのは小学校四年生のときで、漱石の『吾輩は猫である』の真似をしたのが最初である。実は内容はほとんど理解できなかったのだが、猫の主観から世間を眺めるという視点が面白くて、そこだけ真似をしたのである。だけども、世間を知らない子どもがいかに世評をしようとしたって世評にならない。結局、マンガみたいな話にしかならなかった記憶がある。
とにかく、自分にとっては漱石はまず『猫』であった。あの漱石の顔はいつでも江戸っ子のひねくれた諧謔趣味と結びついて