ガロア理論の、ある命題について/ いくつかの証明を読んだ感想

考えたいのは、次の命題。


命題 A
体L と、その自己同型からなる有限群G ⊂Aut(L) がある。このとき群Gによる不変体をKとすると、体の拡大L/Kは有限次拡大である。


命題中の用語例えば体、最小多項式、(体の)自己同型、有限次数(体の拡大の)、不変体、Aut(L)などの説明、定義は省きます。
実は、命題 Aの条件の下で、拡大L/Kはガロア拡大であることも分かる。

(この記事は丁寧に書いてないですし、端折っている箇所もあるので学習にはあてにもなりそうもないので、まじめに勉強したい人は他の文章を読んでください。端的に言うとこの本文は感想です。)

証明
・永尾汎の本  最小多項式を使う。
・アルティンの本  線形代数を使う。最小多項式を用いない
・接合積を用いる  山崎圭次郎「環と加群」(岩波書店)にある。特に「第8章 分離性と半単純環」。   
・テンソル積を用いる 体LとLのK上のテンソル積 $${L\otimes_K L}$$、さらに写像の集合 Map(G,L)を用いる。

§ 2
「体の拡大L/Kは有限次拡大」の証明を見ていく。
有限群Gの位数をnとする。n=#(G)。
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永尾汎の本 (「代数学」160頁、定理37.4、朝倉書店 新数学講座 4 )ではおおまか次の通りで証明する。
体 L の元(要素)a∈L を取る。aの(K係数の)最小多項式の次数がn(=#(G))以下であるのを用いて、K(a)のK上の拡大次数が、n(=#(G))以下であることを示す。さらに拡大L/Kは有限次拡大であることが分かる。a∈Lが任意なので。(ここら辺は大ざっぱ。) (証明の紹介おわり)
最小多項式をつくる(存在を言う)時に有限群Gをもちいる。

§ 3
アルティンの本(東京図書(以前はここから出版)、ちくま学芸文庫)にある証明について。
命題Bと命題Cとここでは名づけておく。 証明には一次方程式の命題を用いている。最小多項式は出てこない。


命題B(アルティンの本 40頁 東京図書版、定理13の系)
体Lと、体Lの自己同型からなる有限集合 H={σ1,σ2,・・・,σ_n}⊂Aut(L) がある。このときHのすべての自己同型σ1,σ2,・・・,σ_n の不変体をKとすると、拡大次数について
[L:K] ≧n 
が成り立つ。(有限集合 H は群でなくてもいい。σ1,σ2,・・・.σ_n は相異なるn個の写像)
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命題C(アルティンの本 45頁 東京図書版、定理14)
体Lと、体Lの自己同型からなる有限集合 G={σ1,σ2,・・・..σ_n}⊂Aut(L) があって、集合 Gは群である。このときGの不変体をKとすると、拡大次数について
[L:K] =n 
が成り立つ。


・各命題の証明の方針について
命題Bの証明の方針
[L:K]=r<nとして矛盾を導く。
体Lの要素(たち)で、とくにr個の一次独立の要素(たち)があるとして矛盾を導く。
一次方程式系の命題「一次方程式の数よりも未知数の数が多いならば、一次方程式系の解は非自明な解を持つ」を用いる。  丁寧に書くと証明をここにかいてしまうので、さぼって省略。

命題Cの証明の方針
Lのn+1個の要素がK上一次従属であることを示す(命題Bが証明されているので、これを示せば命題Cの結論が導かれる。)
スプール(跡、トレースと呼ぶことが多い、体論の用語)を用いて、ここでも連立一次方程式の命題を用いて証明が行われる。サボって詳細は省略。詳しくはアルティンの本で。最小多項式は出てこない。
(証明の紹介おわり)
命題Cが前出の命題 Aである。

§ (寄り道)
ガロア拡大について
・永尾の本
ガロア拡大 =分離拡大かつ正規拡大が定義。(体の拡大が代数拡大である下で。) たぶんこれが一般的。
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・アルティンの本 
体Lの自己同型からなる有限群Gを用いて、ガロア拡大を定義。
定義: ガロア拡大 L/K とは、体Lの自己同型からなる有限群Gの不変体がKである。
永尾の本とは異なる定義。二つの定義は同値。   
( 実はアルティンの本では「正規拡大」でこの文章でのガロア拡大を指している。「ガロア拡大」の言葉は無い ) 

§  [参考文献]
・永尾汎 「代数学」、朝倉書店 新数学講座 4
・アルティン(著)、寺田(訳)「ガロア理論入門」、ちくま学芸文庫 、東京図書(以前はここから出版)
・山崎圭次郎 「環と加群」、岩波書店 岩波基礎数学選書(岩波講座基礎数学「環と加群 Ⅰ, Ⅱ  ,Ⅲ」が合本したもの)。第8章。
・山崎圭次郎 「環と加群 Ⅲ」、岩波書店 岩波講座基礎数学(この分冊に第8章があり単純環論と絡めて最初に挙げた命題がある)
 

続きは、「その2」で。

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以下練習 

記号
テンソル積 #Katex   使用は?

$${y = x^2}$$

$${\tensor[^a_b]{T}{^e_f}}$$

$${\otimes}$$

$${L\otimes_K L}$$

$${\not =}$$

$${ y = x^2 }$$

$${\vec{AB}}$$


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