興味深いみたらし団子の歴史
和菓子と聞いて何を思い浮かべますか?
羊羹、饅頭、おはぎ、煎餅、団子など。
人それぞれ思い思いの食材を思い出すことでしょう。
私が真っ先に思い出すのは、みたらし団子。
行く先々で見かけたら必ずと言っていいほど、食べてしまうほどの「みたらし団子」信者なのです。
これまでに何百本と食べてきた私はある時、気付いたのですよ。
店によって団子の数がバラバラだということに。
これには何か深いわけがあるに違いないと、極秘で調査を開始しました。
そしたら、個数には正解があったのです!!
しかも意味まで…
みたらし団子の由来とは
その昔、京都市の下鴨神社で開かれるお祭りの際に、お供え物として利用されていたのが始まりだと言われています。
お祈りや祭りが終わったら各自、家に持ち帰って醤油をつけて焼いて食べていた。
そのなごりで、醬油をベースとした甘しょっぱい味になったのでしょうね。
名前の由来は、祭りの名前が御手洗(みたらし)祭だったことから、いつしか「みたらし団子」と呼ばれるようになっていたとのこと。
漢字にすると「おてあらい」とも読みそうになるから注意が必要ですね。
名前の由来は分かったところで、問題は団子の数です。
果たして、決まりがあるのでしょうか。
もしかして、作り手が気分で決めていたというのは夢がないので勘弁してもらいたい。
恐る恐る真相を深追いしていくと実は個数には意味があったのでした!
一説によると、先ほど紹介した神社ではお清めをする御手洗池が境内にあり、そこで後醍醐天皇(1318~1339年鎌倉時代)が水をすくったところ…。
泡が1つ浮かんでき、驚いていると。
少し間を置いて4つの泡が横に並んで浮いてきたようなのです。
「これは縁起が良い」ということで、お供えする団子に、その泡の様子を見立てて横に並んだ形で作ったのが原型と言われています。
つまり、団子の正式な数は5個だったということですね。
5個そろっている伝統を守った由緒あるものが本来の「みたらし団子」。
長年の謎が解明されて、これで安心して団子が食べられると思ったのも束の間。
周りを見渡せば、3~4個のものが溢れているような気がする。
それゆえ、串に5個も刺さっている団子は、なかなかお目にかかることはない。
今の主流は5個ではなくなっているではないか!
いったい、みたらし団子に何が起きたというのだ。
このように数の変化には、何か理由があるのだろうか…。
時代に合わせて数は変化していった?
昔はお祭りやお祈りなどのお供え物だったが、広く家庭で食べられるようになっていくにつれて変わっていったようだ。
今でもこだわりを持って、手間暇かけて作るお店はあります。
みたらし団子の発祥の地とされている京都では、今でも5個玉のものが売られているケースも多いとのこと。
その一方で、スーパーやコンビニで売られているものは、供給量をカバーするために機械生産に頼らざるを得ないのも事実。
機会の設定や効率化の観点から3~4個の間で生産されて、市場に出回るようになったことで、会社によって個数がバラバラになってしまったようです。
それゆえ、私のように個数の違いで戸惑う人もいたことでしょう。
個人的には、作り手の判断によっても変わってくるような気がします。
そもそも、串に刺さる数には限界はありますからね。
見栄えだったり、食べやすさだったり、団子の大きさなど、こだわりは違うことでしょう。
大きく作れば食べ応えはある反面、スペースを取ってしまい個数も減る。
その逆で、小さく作れば数は増えるものの、食べ応えに欠けてしまうジレンマも起こるのですよ。
団子の数が変化した背景にはドラマチック物語はなく、人々の趣味趣向が変化し、機械化が発達したゆえに、起きたなるべくしてなったことだったとは…。
現実的過ぎる理由に、ちょっと寂しい気持ちになりました。
知っておくとネタにできるユニークな団子話もあった
気を取り直して、人に話したくなる団子のユニークなネタを紹介します。
これを知っていれば、5分くらいは注目のマトになれるでしょう。
よくスーパーやコンビニで売っている「花見団子」ありますよね。
ひな祭りや子供の日など、特別なお祝い事で出される、とくに味もついていない三食のカラフルな団子。
実は、このカラフルな団子を考えたのが、あの有名な「豊臣秀吉」なのです。
一説によると盛大なお花見会を開く際の目玉商品として、派手で誰も見たことないような団子を作って、来た人を驚かせるために考案されたと言われています。
それぞれ色の違う団子には、意味があるのです!
秀吉は四季を連想させる色を使ったとされています。
赤色:春に咲くサクラ色
白色:冬に降る雪の白さ
緑色:夏に茂る草や葉の色
そう、お気づきの方もいるでしょう?
四季なのに秋が入っていないことに。
その理由とは…。
・食べ飽きない(あきない)
・商い(あきない)が繁盛する
↓
あきがない(秋がない)
というユニークな言葉遊びが理由でした。
天下を取った人は遊び心やお茶目な一面も持ち合わせているのですね。
やがて、美しい彩りが大衆に受けて、全国的に広まっていったそうです。
ぜひ、花見の席にウンチクの1つとして語ると盛り上がりますよ。
個数の数だけ団子には歴史がある
まさか5個が正式な数だったとは…。
特別な日にお供え物として始まった団子も、いつしか気軽にある食べられる日本を代表する和菓子になってくれた。
今後は、辿ってきた歴史を思い浮かべながら、口の中をみたらしの甘いタレで満たしていくことにしよう。