Fate Reader
※この物語はHYBE、およびBTSと何一つ関連がございません。
全ての運命は宇宙が初めてできたその日に決まった。
そう、訳の分からない戦略家だと名乗る青年に入り浸られるのも、愛用している携帯電話に脳裏に焼き付いて離れられなくなる呪いの音楽が届くのも、全て、決まっていた運命だ。
そうでなければなんというのだ。
今、目の前に座っている邪悪なオーラを纏った男が、呪いの化身だなどと説明がつく筈がない。
現に彼は生きている。念のために脈も取ったが、彼は正真正銘の人間である。
オーラ以外は。
僕は久しぶりに恐怖というものを感じていた。今までに見たことないどす黒いオーラである。
彼はグレーの短髪を無造作に掻き毟り、かと思えば顔面を両手で覆った。
「僕はもう、どうしていいか分かりません‼」
彼が声を荒げる度に、後ろのオーラも荒ぶっている。僕は思わず両膝を握りしめた。知らない間に座っている両足の踵が浮き上がっている。
「こ、此処は人生相談所ではありません。」
僕がそう言うと、彼はおもむろに拳でテーブルを叩きつけた。
正直に言おう、怖い。帰りたい。
「僕の今後の人生を見てもらいたいと思ってるんです‼同じよなもんでしょう‼」
彼の叫びに合わせ、漆黒のオーラが彼の後ろで蜷局を巻き始める。まるでこの部屋に嵐が上陸したかのようだ。
「う、運命を変えることは出来ません。僕は見えた運命をお伝えするしか…。」
「運命は変えられないだって⁉なら、僕は一生このままだというのか⁉」
占いに来たのは自分の癖に、なぜ僕が怒られなければならないのだろうか?僕は思わず泣きそうになった。
全ての運命は宇宙が初めてできたその日に決まった。
この信念を、僕は覆さなけらばならないのだろうか?
というか、そう伝えなければ、目の前の男は帰ってくれなさそうである。
「貴方の望みはなんなのですか?」
僕はおもむろに水晶を見つめ、そう投げ掛けた。こんなにも邪悪なオーラを放っているのだ。何か良からぬことに巻き込まれているのは違いない。
僕の質問に対し、彼は大きく溜息を吐いた。
「僕は、元に戻れたらそれで良いんです。」
「元に?」
「そうです。僕はある人の依頼で、一種の香水を作り上げました。それまでは普通の男だったのですが、その香水を作り上げてからというものの、僕の生活は一変してしまったんです‼あぁ、腹立たしい。」
「い、一変とは?」
彼は、この部屋では僕たち二人だけだというのに、きょろきょろと辺りを見回しながら、静かに僕に耳打ちした。
なるほど。
そんな単純な悩みならお安い御用だ。
「生まれ持った運命を変えることはできないが僕が手伝うことはできる。貴方の人生を軌道修正いたしましょう。」
僕のその一言に、彼は目を輝かせた。
「ただし、その前に何か良からぬことに巻き込まれていませんか?」
僕は彼の後ろのオーラを見て言った。
「良からぬこと?」
目の前の男の眉間に、深い皺が刻まれる。
元の動画はこちら→BTS 2022 SEASON’S GREETING SPOT
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