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みつぼし杯の振り返り

 2023年6月25日日曜日。社団戦もあったようだけど、そっちではない。言わずと知れた、#みつぼし杯 の当日である。
 わたしもこの大会にいち選手として参加し、全11局(と時間切れ扱いでプラス1局)を戦い抜いた。その振り返りをざっくりと行う。約1万字。
 本配信の様子はこちら。

 本大会アリーナのリンクはこちら。

◯みつぼし杯とは

 知らぬひとはおらんだろうけど、形式として書く。
 将棋系Vtuberのぽめひ君が主催した、りしょーぎのアリーナを用いたネット将棋大会である。
 ネット将棋大会といえば、多くが個人戦だと思われるが、本大会は、3人でチームを組む団体戦である。
 りしょーぎのアリーナには、持ち時間を犠牲に勝ったときの得点を加速させるバーサーク、また連勝することで得られるボーナス、という独自のシステムがある。本大会ではそれらを採用せず、本大会の独自のルールを設定している。チームの合計段位に基準を定め、アリーナ終了時点の得点に、その基準からどれだけ離れているかという補正をかけ、その最終値で優勝チームを決める、というものだ。
 また、1手20秒という持ち時間も珍しいものと思われる。
 詳しくは以下のツイートにある。

 本配信のリンクは上にあるが、それとは別に配信者も参加しており、多くの視点配信もあった模様である。一つひとつを取り上げることが難しいため、将棋Vリスナの大家として著名なしゃおっちのツイートを紹介する。

 解説にプロ棋士の上村さんが来てくださるという、豪華仕様である。まじかぽめひ。
 大会運営には宮倉ちゃんがサポートに回っている。宮倉ちゃんのサポートがいかに優れていたものだったのかは、例えばかおりんこちらのツイートから察するといいと思う。
 また、大会開催には、いーんちょの協力があってのものであった。りしょーぎ運営に働きかけてくれたからこその、大会実現であった。
 そして、7月1日に、本大会の打ち上げ枠が予定されている。

 関係した全てのひとに感謝しつつ、以下、本編として、わたしの将棋を振り返っていく。

◯モカとシメイとドラキーと

 振り返る前に、二人のチームメイツを取り上げる。
 積極的にチームを組みに行ったわけではなく、ぽめひ君のマッチングを利用して組んでもらった。チーム名は、チーム・BARぽめひでも良かったかも。特に思いつかなかったので、3人をそのまま語呂で繋げた。

 モカちゃんは、将棋Vのリスナ繋がり。交流というほど直接のやり取りはあまりなかったように思う。
 将棋のほうは、居飛車が多いようだが、振り飛車も持ち玉。棋力はわたしよりも若干高い。チームを組めた最大のメリットは、モカちゃんを敵にしなくて済むこと。
 ドラキーさんは、のりたま、あるいはくりそらさんを愛でる会繋がり。中飛車メインの、他の振り飛車も使う印象。チームを組めたメリットは、愛でる会同士なので気まずい空気になりにくいこと。
 二人がこのチームにどう思っていたかは不明だが、わたしは満足している。

◯用意の作戦、及び結果

 ここ数ヶ月、わたしは作戦・戦法を絞っている。対居飛車には菜々河流向かい飛車、対中飛車にはこいなぎ流右玉改変、対それ以外の振り飛車にはショーダンシステム。一部の特殊戦法に対してはその限りではない。
 ただし、わたしの理解が追いついていないので、似た形のわたしなりのアレンジ作戦といったところである。

 今大会でもこれら3つを採用することは決めていた。
 まず、11局の結果を示す。

補正前チーム成績は9位、個人成績は22位。ただし14得点者は16名いる。

①対すずねさん戦。後手。中飛車vsこい右改。負け。
②対おあしすさん戦。先手。こい右改vs中飛車。勝ち。
③対天神さん戦。後手。居飛車vs菜々河流。勝ち。
④対おちりす君戦。先手。菜々河流からの居飛車vs居飛車。勝ち。
⑤対きさもこおおおお!!戦。先手。矢倉模様。負け。
⑥対戦。後手。居飛車vs菜々河流。勝ち。
⑦対やましんさん戦。先手。角換わり。45桂速攻vs一手損? 負け
⑧対玖渚直さん戦。後手。中飛車vsこい右改。勝ち。
⑨対しぇれんつゔぁいさん戦。先手。菜々河流vs居飛車。勝ち。
⑩対そらさん戦。後手。居飛車vs菜々河流。負け。
⑪対きゅーびっくさん戦。先手。ダンシス改vs三間飛車。勝ち。

(リンクのツイッタ垢は、この記事を書いている時点でわたしが把握しているもののみ)
(7月1日、やましんさんのリンクを更新。)

・菜々河流スタート。4勝1敗(③④⑥⑨⑩)。
・ダンシス含み。1勝(⑪)。
・こい右改変。2勝1敗(①②⑧)。
・⑤⑦は特殊戦型に分類。2敗。

 今回の大会をきっかけとして登録された方もいるので、各位の棋力は不明なところがある。
 全体としては、反省点の目立つ内容であった。
 以下、具体的に一局づつ見ていく。わたしの体力の都合上、1局辺り2、3局面程度とする。見出しに棋譜のリンクを貼っている。
 なお、わたしの振り返りにはソフトはめったに使わない。もし指摘したいものがあったら頂戴。歓迎する。多分。

①対すずねさん戦

 すずねさんは、中飛車を主戦法にしている。当たった瞬間にこい右改がほぼ確定している。わたしの改変は、右辺をこいなぎ流の形にしつつ玉を中住まいや6八(4二)地点にもっていくというもの。居飛車棒銀を見せる形で振り飛車からの攻めを警戒しつつ、機を見て地下鉄から玉頭を叩くことが主な狙い。
 本譜は右桂を跳ねずに棒銀で仕掛ける順を見せた。
 まず、50手目8四銀が後悔した手(図1)。

図1.50手目、銀を引いたところ。次の▲4八角が幸便。

 ▲6一銀があるので、△6六銀は出にくいと判断し、銀を引いた。しかし、割銀が来たところで、手順に飛を6筋に回せれば、伸びた6六の歩に勢いがつきそう。

図2.一手パスに近い△8六歩。

 続いて図2が、入るわけのないタイミングで突き捨てを入れようとする無謀の図。結局無視され、後に△8七歩成としたものの、その瞬間に、飛に5筋に回られた。変わる手は、やはり戦場になっている4筋か。△4五歩でどうだったろう。△6二飛なども候補。突き捨てを入れるならもっと早いタイミングであった。
 以下、終盤も、おそらく最善の受けを全て逃して負け。いや、終盤はどうでもいいんですよ。いいんです。いいの。

②対おあしすさん戦

 初戦を落としたせいで順位も落とした2戦め。連続で中飛車に当たる。
 一時の流行は去ったと思っているけど、それのおかげか、今でもというか今だからというか、こいなぎ流右玉の右辺の形は中飛車には有効だと思っている。
 加えて、地下鉄飛車を使えるならダンシスの攻め筋も一部使えるわけで、それもこの形にプラスだと思っている。
 今回は中住まいと悩んだけど、素直に6八に玉を持っていった。そして43手目に地下鉄飛車をぶん回す(図3)。

図3.玉の位置が真ん中の3箇所でウロウロするが、だいたい定番の形。

 この後、8筋、7筋で歩交換をして、▲7六銀と出て端に絡みついていく。この間に3筋方面で、振り飛車側の攻めらしい攻めがない。
 以下順調に8筋を突破するものの、玉の位置が悪く△7六桂から絡まれ、104手目△2七角が少し怖いところ(図4)。

図4.見た目は怖いが、後手に横駒がないので甘い挟撃。

 20秒将棋の怖いところで、▲2二飛と、▲3四金△同玉▲3五歩辺りを吟味しきれず、▲3五金打ちとかいう謎の手に。終盤の失速感、まじでぱねぇっす。とはいえ、おそらくそれまでに奪っていたリードが大きかったようで、ラッシュが途切れたところで相手が投了。

③対天神さん戦

 今大会で菜々河流の一発目。一応立ち上がりの都合で菜々河流に分類したものの、15手目の▲7七角が違和感のある手だったので、躊躇なく交換(図5)。菜々河流の傍流ということで。

図5.確認はしてないけど、多分本家も狙い目と見たら角交換すると思う。多分。

 おそらく▲同玉が一番スムーズに囲えたと思うけど、本譜は▲7七同桂。居飛車が囲うのに時間がかかるのもあり、急戦を目指す。

図6.1四地点は筋違い角が3六の歩を掠め取ったあとの引き場所としても利用することがある。

 数手後に、先手が玉を囲いに入れる前に定番の▲3六歩反発。しかし▲7八金などの連結もなく、玉も半分露出してる状態での反発は、好機に思えた。
 先手番だったときには、菜々河流を指す含みのために▲9六歩とつくことがある。これは菜々河流変化の△9五角から△6八角成対策でもある。後手番で菜々河流を採用した場合、端歩を省略しているぶん、稀にここに角を設置する筋が生じる。
 以下、中終盤で多少もたついたものの、そのまま押し切る。

④対おちりす君戦

 因縁対決だったりする。おちりす君はライバルの一人。
 出だしこそ菜々河流で、それに分類したものの、相手の右銀が上がってくる前に玉が移動したのを見て、趣向の居飛車を採用(図7)。

図7.居飛車の飛先が保留の場合も、菜々河流から居飛車は有力っぽい?
玉の移動が相対的に早い点を突いているつもり。

 角が睨み合っている、玉が4二(6八)に来たこのタイミングは、振り飛車党でも飛先を突きたくなる。よね? 後手の左の金銀が、多分展開に困るのではないかという主張。
 以下、小競り合いを経て、要所の5六に角を設置、後手陣を乱すことに成功したと思う。
 しかし中盤。香が不在になった端にと金作りを見せて玉を端に追いやる手筋を使い、▲4一角の両取りが決まり優勢を意識した局面。

図8.実におちりす君らしい妖しい手。盤面をかき回す勝負手がうまいと思っている。

 図8にあるように、△7六香が嫌らしい手で、優勢意識が早かったと訂正してお詫び申し上げた。
 最善は、▲6六金だろうか。以下、△7九香成 ▲同玉。続いて△8六歩、△4五歩、△6五歩くらいが候補だろうか。
 本譜はなにも考えずに▲7六同金。取ったあとに後悔した。△6七角がある。金の両取りが受からない。ましなのは、そこで▲6六金で、金は許してもと金は許さない方針だと思うがおそらくそれでも苦しい。
 が、ここでおちりす君は△5四角。馬を消すほうが大きいと見たようだ。ただこちらとしてもあの馬は、位置が中途半端なので、角と交換でリセットなら、このやり取りで銀香をもらった計算になる。今度こそ優勢を意識してもいいはず ←学ばないやつ
 以下、やはり終盤に向けてもたつきつつ、リードがひっくり返ることはなかったと思う。
 ちなみに、縁あってわさびちゃんの枠に少しだけこの将棋が取り上げられている。

「寒いぞ冷蔵庫(わたしのつべ垢である)、ほんとに勝てる〜?」
 と突っ込まれてしまうくらいに怪しい振る舞いをしていたようだ。
 わたしの将棋と別に、チームわさび抜きの将棋も見てほしい。開始ダッシュに失敗したものの、徐々に加速していく様は気持ちいい。

⑤対きさもこおおおお!!戦

 2手目が△6二銀。ダンシスや英春流があるため、居飛車か振り飛車か読めない。これはもう特殊戦型(ここで言う特殊とは、わたしが用いる3戦法に分類できないもの全てのことを言う。そのため例えば角換わりも特殊戦型と扱っている)なので、あー、なにしよ、うー、居飛車でええやろ、からの矢倉模様に。
 そして矢倉の定跡で、こういう順があるから角が浮く形のときは注意するようにという形があるのだが、それが図9。

図9.多分有名な矢倉のやっちゃダメと言われる順に近いやつ。

 確か飛を切るのはやり過ぎで、実は角を取られてもそこそこやれる、というのは知っていた。が、難しいよなぁ、とぼーっと考えていたら▲7八金と上がってしまい、収拾がつかない事態に。
 見どころもなく投了。許さないからなきさもこおおおおお!!!

⑥対の戦

 のののさんは、のりたま将棋クラブの同胞であり、将棋傭兵集団・栗空団の仲間でもある。地力があり、格上相手でもぶっ刺さる将棋を指す。そういうときは敬意を込めて、「の」の数を増やす。これは本人の気合度合いでもある。
 本局はその逆なので、「の」を減らした。菜々河流の典型的なはまり形になって、居飛車の飛先逆襲が成功し(図10)、終了。

図10.飛先逆襲成功。数手後の投了図以下もすっきり勝ち切るわけではないが、こちらが負けることはまずないと思う。

⑦対やましんさん戦

 本局も居飛車振り飛車がわかりにくい出だしで、後手の相手から角を交換してくる、おそらく一手損角換わりの亜種だと思われる。前述のとおり、特殊戦型扱い。普通に角換わりとして指して普通に勝てる、と踏んでいる。
 今回選んだのは4五桂速攻。詳しい手順は知らないが、腰掛銀模様の組み立て、相手の飛先の立ち遅れがあれば、詳しくなくてもだいたいいけるやろいう甘い見通し。

図11.角換わり4五桂速攻の成功形だったと思う。条件はより良いか。

 飛先を交換したあと、横歩を、ついで銀を取り、▲5三桂成が入ったところ。後手の飛先が伸びておらず、こちらへの攻撃の心配がない上に現時点では8筋に逃げる際に、狭い。従来の4五桂速攻よりも条件がいいと思う。
 この辺りでは勝ちを確信していた。気が早すぎる。おちりす君戦でなにを学んだのか学ばなかったのか不明である。
 そのまま順調に進んで、図12の局面。

図12.後手は複数の手順で詰んでいる。詰んでいるのだが。。。

 先に▲6二馬がわかりやすく詰み。あるいは▲6二金も手数は同じくらいだろうか。本譜の▲5四金でも正しく指せば詰み。どれでもいいかと不用意に長いほうを選んでしまい、△5二玉のときに、これ対局中なにを考えてこんな手を指したのか全く覚えてないんだけど、▲4三桂成としてしまい詰みを逃す。逃すうえに自玉を受けないといけなく、手番まで渡すことに。以下華麗に負け。必勝の対局を落としただけに、少しだけくら~っとした。いや。相手の、一瞬を逃さなかった点を認めましょう。くっそおおおおおおおお。
 これだから詰将棋嫌いなんですよ、ほんと。
 とはいえ、序盤の採用作戦としては成功している部類だと思う。今回は4五桂を選んだけど、他の作戦でも勝ちやすい傾向にある。

⑧対玖渚直さん戦

 中飛車を多様している印象があったので、ここもこい右改が候補で、実際にそうなった。
 いつもの駒組で、またまた4二に玉を持っていった。実際にこの形で右玉にすることは少ない気がする。

図13.積極的な仕掛け。右銀の立ち遅れが若干マイナスだが、相手の左金と相殺だろうか。

 そして角が浮いているところをい狙っての▲4五歩の仕掛け。△4五同歩 ▲同銀に△同桂ができない。そのまま▲4四歩を食らうとさすがに崩壊なので、先に△4四歩 ▲同銀 △同銀 ▲同角。5筋の突き捨てで一枚先に歩をもらっているので、実は駒の損得なし。
 持ち駒をケチって△6二銀とすると、▲7一銀がある。それで即潰れでは(おそらく)ないが気持ち悪いので△5三銀と打って耐える。駒の損得はないが、銀歩を手持ちにされた分若干マイナスだが、やりたい攻めのためには大きなマイナスではないと強がる。

図14.中央への圧力を見せた金だと判断した。この角のラインがけっこう嫌味だと思う。こちらは▲4三金で、上部で負けない形への変化も残している。

 45手目の▲4六金と出てきたのを、46手目△1三角と睨んだのが図14。▲4七金のつもりだった可能性もあるが、判断がつかなかった。
 このやや攻撃的に活用してきた金を逆に目標にでき、本譜は後に5七地点に飛を引っ張り出せてもおり、このラインを生かして、以下勝ち。
 端角はもともと狙いの一つではあったが、ダンシスの攻撃陣で行けることが分かったため、早い段階で△3三桂でも戦える、という点も、この形にプラスだと判断している。いや、逆かも。ダンシスの根底に、こい右の攻め筋が隠れていると言うべきか。

⑨対しぇれんつゔぁいさん戦

 相手の垢の読み方がわからないので、この記事では上記で通す。
 これも菜々河流が刺さった形と言えそう。
 飛先の逆襲を受けるために、早めに上がった△7二銀が釘付けになっており、右金を無理に押し上げる格好になっている。居飛車の右辺が渋滞している間に、自陣全体を整備。図15の時点ではまずまずといったところ。

図15.▲6八銀と▲5九金の連結が、わたしなりの菜々河流の骨子。もちろん流れ次第で、右玉のような形まで変化したりもする。

 そして数手後、角のラインと桂の連携で反撃してきたところを、こちらも角の捌きどきと▲6六角〜▲2二角成らず(図16)。まさかの成らず厨だったのか、わたしは(クリミスです。信じてください)。

図16.成らず厨をのうのうと生かしておいてはならない。

 以降、▲7一角や▲6六角のラインがあり、居飛車はまとめるのが難しそう。△2二同玉 ▲7七桂 と払いあったあとの後手は、次の手が難しいと思う。
 菜々河流の経験値で勝った将棋、だと思いたい。

⑩対そらさん戦

 本大会では、わたしが指した中ではすずねさんと並んで高い棋力を誇る方。右四間飛車の敬虔な信者という印象を持っている。しかし、菜々河流に右四間はおそらく空振る。勝った。
 19手目、菜々河流では初遭遇の天守閣美濃含みの▲8六歩(図17)。

図17.天守閣が本線。第二候補が▲7七角からの銀冠。

 普通の四間飛車なら、地下鉄を第一に思いつくが、菜々河流ではそれができない。二段目で振り戻すのも抵抗がある。となると、角で玉頭をつっつくイメージか。用意のない局面で困ったが、右玉のあの形を目指すイメージで手を続けた。
 図18は、さらに40手ほど進んだ局面。

図18.この10手ほど前に、浮いていた7六の歩を狙って△4九角とおろした。捕まりにくい角だったが、と金ができた先手はゆっくり追い回して十分か。

 角が生きたまま銀を取り切れれば優勢と思っていたので、自然と△2七角成と逃げたのだが、ここは勝負で△6六歩と銀を取る手もあったか。以下、▲4九飛に△6五銀打ちあるいは△6七銀。この一瞬で寄せ切る自信があればそちらだろうが、さすがに細そう。
 角を取らせる1手の差で、本譜は銀を取れたものの、その間に大きく自陣を削られた。なんとか凌いでいるような、でも全部読み筋の内のような、という展開が続く。 

図19.調べてないけど、わたしが勝っていても不思議じゃないはずの局面。

 そして迎えた最終盤(図19)。△6九角のラインを狙って玉を釣り上げたところ。ここでわたしは△6七歩成と成り捨てたが、先に▲8五桂と気持ちのいい王手が入る。かえて、△8四銀、△7五(7六)歩などはあっただろうか。同様に▲8五桂なら食いちぎって、できた空間に歩を打てる。なのでおそらく違う進行になったと思う。
 以下、寄せにくいはずの中段玉を苦もなく寄せられて負け。
 負けはしたものの、それなりに善戦はできた。が、善戦止まりではあかんのよなぁ。

⑪対きゅーびっくさん戦

 今大会唯一のダンシス起用戦。ダンシスといっても、こちらが先手、相手が振り飛車を保留した場合、3手目に▲9六歩、5手目に▲6八金と上がる組み立てであり(本譜はクリミスで▲7八金としてしまったが、結局後で▲6七金として合流する)、本家のものとは(おそらく思想的にも)違うものである。

図20.ダンシスとは金銀が逆。かつ三間で一旦下車している。後手が早い段階で美濃確定なら直接向かい飛車を目指していた。

 図20が、その組み立ての途中。7筋で歩を交換しがてら下段に引き、▲7六銀を目指す。あるいは本譜のように▲6五歩と位を取って6六に角設置や銀が出ていく。金銀の連結が悪いが、6七を金にしているので、後に7七に跳ねる予定の桂への紐も含み。ただしそこまで悠長に組めるかは怪しいが。
 後手は銀が4三地点にとどまったまま、前に出てくることがないまま、端角が△2四歩で止まった瞬間に仕掛けを目指した(図21)。

図21.一時的に、一方的に攻められるタイミングに仕掛ける。しかし細いか。

 飛の横利きがあり、かつわたしも銀が出て行けていないので、実は怪しい仕掛け。飛の横利きは、△6四歩で擬似的に消せる(△同飛は▲3三角成りがある)ので、先に入れておくべきだったか。飛が狭くなれば、B面攻撃(注:将棋用語で、相手の攻め駒を攻めること)も出てくる。本譜は手順前後で入れてしまったため、後手の飛車に苦しんだ。しかし、角道が閉じたままなのでまだ勝負になる形で進行する。

図22.△同金には端で歩を拾い▲7四歩の予定だったが、成否は微妙なところ。

 図22、▲7三歩成りは、盤上いかにもそれっぽい手。成否は不明。本譜は△同玉に、▲74銀右。△同飛には▲6五桂があるので、引く一手。以下と金が迫っていき、後手陣の金駒をバラしていき挟撃大勢を築き、以下勝ち。
 おそらくダンシスの金銀が逆になっているのが地味に生きた棋譜になったのではないか、という期待が少しだけある(△6八角成りの脅威が小さい)。

◯最後に

 りしょーぎのアリーナは、楽しい。次々に対局が襲いかかってくる。素晴らしい仕組みだ。チーム戦の管理の都合で選ばれた面でもだが、素晴らしいサイトが、素晴らしい大会の舞台となったと思う。
 ただ楽しむだけの立場のものとしては、こういう機会を設けて頂いて、感謝の限りである。 
 特にわたしの場合、チームを組む動きも遅く、わさびちゃんのチームにあぶれてしまった経緯もあり、ぽめひ君に組んでもらう形であったため、他の参加者よりもほんの少しだけ感謝の度合いが大きい。
 チーム戦だが、90分で勝利数を争う以上、走り切るために、仲間の将棋を見る余裕はない。待機画面のときに勝敗はわかる。モカちゃんはさすがの勝ち数だが、後で見る限り、満足はいっていない様子。ドラキーさんも同様、少し悔しい思いをしてはるようだが、水星の魔女に感動している模様。

 このツイートに見られるように、来年になるだろうか? きっと第二回、第三回とやってくれるんじゃないかという期待がある。
 今回の大会は補正値が大きく、全員が級位者という極端なチームが優勝した。純粋に勝った順ではないところに引っかかるひともいるかもしれないが、下の記事を見てほしい。

 今大会を主催したぽめひ君の考えを、わたしも完全に理解しているわけではないが、ほんの少しはわかると思う。みつぼし杯も、彼のこういう主張の表れの一つなんだと思う。強さを当然求めるけど、アマチュアの将棋は強いだけが全てではない。楽しかった! と思えることが先に立つ。立っていてほしい。それなら、楽しむに当たっては級位者だって条件は同じで、普段は棋力差のために悔しい思いをする彼ら・彼女らこそが輝く大会があってもいいのではないか。きっとそういうテーマもあったのだと思う。
 少し極端な補正値だったことも含めて、わたしは今回のみつぼし杯は、非常に楽しめた。大成功だと思っている。次回はきっとあるはずだが、また出たい。そのときは、今よりももう少し強くなって、敵に回ったモカちゃんとドラキーさんを蹂躙するつもりである。

 みつぼし杯に関わった全ての方がた、ありがとうございました。

◯おまけ

 今大会の目玉チームの一つが、チームうじゅんくである。

チームうじゅんく。小学生3人組のチーム。補正前成績堂々の3位である。

 小学生チームが参加しているとは、一週間前の配信で紹介されているが、どのチームかまでは聞いていなかった(ながらで見ていた)。

 本アリーナの時間切れで無効になった対局(アリーナの仕様で、終了時刻までに勝負がつかなかった対局はカウントされない)の相手が、このチームうじゅんくの一人だったようである。それを、少しだけ見る。

◯対りくおーさん戦

 戦型は、先手わたし、菜々河流vs後手りくおーさん居飛車。
 立ち上がりはまたもミスで▲7八金としてしまうが、進行上問題はなかったようだ。

図23.菜々河流を指していると、△7二金は頻出だが、△6二金は初遭遇。

 おそらくだけど、りくおーさんが菜々河流と遭遇したのが初めてなのだと思う。流行りの△6二金というバランス型を目指したものと想像している。
 しかしここは仕掛けどころ。角交換からの割角で飛先突破を狙う。
 以下、竜はできたものの、突破というには若干ぬるい局面になり、やはり課題の終盤での失速がわたしを苦しめる(図24)。

図24.いかにも捕まってそうな玉。なんでこうなった。

 あれを捲くられるかー、と自分の中で感想戦を始めつつ打った▲5六桂に△同馬。△同馬??? これは逃げられるかもしれぬ。とにわかに活気づく。具体的になにを指すかと言われるとぱっとわからないが、わたしの竜が公園にいるニートみたいな感じなので、この馬は金駒と交換を目指すような指し方で、気持ちゆっくりめに指されて負けだったように思う。
 最後は上部に脱出してなんとかというところ。
 中盤や終盤がお前の課題だよと、小学生にも言われた気分である。くそぉ、くそおおおおおお。。。

 でも勝ったもんね!!!

 一年もしたら、手も足も出ないんだろうなぁ。小学生怖い。。。


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