転職先での日常①

 4年勤めたシステムエンジニアを辞めて、転職した。転職先はシステムエンジニアとも、IT業界とも関係なく、製造業の総務部として働くことになった。
 システムエンジニアとしての4年間、正直にいうととても楽をしてきたと思う。プロジェクトに配属され、下っ端として楽で責任のない仕事をしていた。週に3日はテレワークで業務はやっていたが気の抜けたものだった。どこかでこのまま楽をしていていいのかと思っていたが、それでも目の前の楽できる状況に甘える毎日だった。
 4年目が終わりそうな段階で、プロジェクト異動になった。これは私が優秀だったからではなく、単にお客さんから人数を減らしてくれと言われたからだ。私がやっていた仕事はSESといって、プロジェクトに参加する人数でお金をもらっている。その為、人数を減らせば、その分コストが減るという仕組みだ。
 私はこの異動を理由に退職しようと決めた。そしてそこから転職活動を始め、工場の総務として働く事になった。その職場に決めた理由は以下だった。
①事務職の中では初任給が高かった事
②前の職場の経験を多少は活かしたかったのでPC作業である事
③工場には50名ほどしかおらず、出世しやすと考えた事

他にも細かな理由はあるが、大きいものだとこれが理由だ。そして転職活動が決まった瞬間、新卒で入った仕事を辞めた。退職届を出してからは1ヶ月ほど有給が残っており、そこでの生活は天国だった。朝からゲームをやって、動画を見て、本を読んで、ダラダラする。こんな生活が毎日続いたらいいのにと思い続けた。
 また逆に自己啓発本やビジネス書を読む意識高い系の部分もあったので、次の職場では活躍するぞという意気込みもあった。とにかく未来は明るいものだと信じていた。
 そんな楽しい1ヶ月はすぐに終わり、ついに転職先である初日を迎えた。四年ぶりに味わう、新しい職場に行く時の不安と緊張を味わう事になった。初日、事務所に行き社長に挨拶し、総務部のメンバーに挨拶した。社長は二代目の女社長であり、現在56歳だ。総務部のメンバーは4人いて、31歳のIさん、25歳のM、29歳のRさん、35歳のNさんだ。全員女性だったが、みんな人当たりも良く、ここでならやっていけるだろうなと思っていた。
 ただそんな思い込みは入社して3日目で崩れた。初日の木曜日、2日目の金曜日と勤務が終わり土日休みを満喫してた私に、総務の1人からLINEが届いた。月曜日に話があるから、一緒にドトールでご飯を食べようという事だった。話す内容に心当たりがない。呼び出されるほど何かやらかした記憶もなく、自分の中ではうまくやっている二日間だった。いったん何の話があるのだろう。そんな不安を抱きつづ、3日目の月曜日、入社初日とは別の不安をいだきつつ出社するのだった。

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