適応障害ってどんな病気
適応障害は近年、芸能界や著名人が診断されることで注目されている病名のひとつです。
適応障害をひとことで表すとストレス性障害と呼ばれるものです。
そもそも、適応障害とはどんな病気なのでしょうか。
私は看護師として医療の世界に24年間携わっていますが、『適応障害』については知識が全くありませんでした。
今回は適応障害についての知識と、自分に当てはまった適応障害の症状について書いていきたいと思います。
1.適応障害の概念
適応障害はうつ病と並ん休職の原因となります。
うつ病と似ている一方で、適応障害は「ストレスへの反応」の側面が強いとされます。
①適応障害の定義
適応障害は、自分の置かれている環境や関係性の変化やエラーがストレスとなり
気分の落ち込み、意欲の低下、不眠や身体症状が出現している状態で、
最もよく見られる疾患の一つです。
代表的な環境の変化を挙げると
・個人的不幸(家族や身内・親しい人との死別)
・転職や引っ越しによる環境変化
・役職の変化(昇進・移転)
・地域や家族間における役割の変化
・ライフスタイルの変化(就職・結婚・出産・定年)
などがあります。
適応障害はこれらに対する短期間の不適応反応のことで、
ストレス性障害の一つです。
通常、ストレスになっている原因が消失すれば、
状態は速やかに改善すると考えられます。
適応障害の症状は、
ストレスを受け始めてから3ヶ月以内に出現し、
ストレス消失後6ヶ月以内に改善するとされています。
尚、ストレスの原因が持続する場合には、適応障害も引き続き持続します。
②適応障害となるストレスの強度
適応障害の診断の目安となる
ストレスの性質や強度は特定されていません。
日常的な出来事が突然大きなストレスとなり、強い症状が出現している場合がほとんどです。
適応障害は、自分の置かれている環境への適応がうまくいかず、ストレスによりこころと身体のバランスが崩れ、日常生活に支障をきたしている状態を指します。
③適応障害になりやすい傾向
男女比は女性の方が発症しやすく、男性の有病率の2倍と言われています。
特に独身女性が罹りやすいと言われています。
すべての独身女性が罹るというわけではなくその人のもつ性格も大きく影響してきます。
罹りやすい性格として
ストレスへの耐性が低い
神経質
傷つきやすい
仕事や悩みを一人で抱え込む
他人の目や評価が気になる
真面目で責任感が強い
自分より他人を優先してしまう
気持ちの切り替えが苦手(ON/OFFができない)
などがあげられます。
④適応障害にあらわれる症状
症状はストレスやご自身を取り巻く状況、本人の性格によって様々ですが、
主に以下の3つの状態に大別されています。
【抑うつ気分を中心とするケース】
気分の落ち込み、涙もろさ、意欲低下
抑うつ症状(気分の落ち込み)が強い場合はストレスについて考えることが多く憂鬱・喪失感・絶望感が強くなり、職場や学校で突然泣くというケースが多く見られます。
意欲が低下する→仕事や勉強の効率が落ちる→集中力の低下→ミスを起こしやすい
という負のループが出来上がります。
【不安症状を中心とするケース】
動悸、焦燥感、神経過敏、緊張、怒り
【身体症状を中心とするケース】
起床困難、頭痛、めまい、動悸、倦怠感、身体の痛み、腹痛、不眠、過眠、食欲低下、暴飲暴食
ストレスが身体に現われる場合、
身体に症状があるため活動性が制限されてしまい、治療しようと内科などの病院受診を繰り返すこともあります。
適応障害の典型的なのが出勤前に嘔吐(吐く)、頭痛、気分が悪くなる
といった症状がでることがあります。
症状が強く出る一方、ストレスの原因から離れている時間(休日など)は
症状が軽くなる場合もみられます。
2,適応障害とうつ病のちがい
適応障害とうつ病は似ているため鑑別が必要となってきます。
適応障害とうつ病では何が違うのでしょうか。
適応障害とうつ病では発生機序が違います。
適応障害は環境や関係性がうまくいかずに起こすストレス障害
うつ病は脳内から分泌されるセロトニンの量が不足することで起こる
脳の不調といった感じです。
うつ病では、薬物療法を第1選択としますが、
適応障害は環境調整で短期間で症状が改善します。
ただし、適応障害を長期的に放置していると長い経過を経てうつ病へ移行するケースは多く見られます。
3,適応障害のストレスの正体
適応障害の原因となる主なストレスは、仕事、家庭、恋愛、学校、病気など、生活の中の多く潜んでいます。
そのなかでも、もっとも原因になるものは
職場や学校の人間関係です。
職場では、業務内容と人間関係に原因があることが多く、
家庭については、夫婦の不仲、義理の両親との関係、育児や教育の問題、
引越し、経済的問題など。
学校では勉強内容や人間関係、失恋、転校、 いじめ、
などが挙げられます。
4,適応障害の予後と治療
適応障害の予後は、ストレス要因の解決が第1選択となります。
そのため、自分の置かれている環境調整がとても重要です。
業務量の減少や勤務時間の短縮、必要時は職場の配置の変更も行います。
自宅静養をするだけでも症状の改善が認められることも多いため、一定期間の休職も必要となります。
適応障害の治療においても、抗不安薬、抗うつ薬、睡眠薬などが使用されることがあります。
特に症状が強く出ている場合には非常に有効です。
しかし、薬物療法はあくまでも対症療法です。
ストレスを解決もしくは減らす働きかけをしない限り症状は続きます。
5、ストレス社会に適応する
以上が、適応障害について調べたことをざっくりと記事にしました。
調べていくうちに、自分にもあるなという症状が何点かありました。
朝、起床時間に起きれない
起きた時に嘔吐する
夜、寝付けない
睡眠が浅い
長時間眠らないと疲れが取れない(過眠)
仕事中に咳が出て止まらない
これらの症状は、社会人になって仕事を始めてから出てきた症状です。
私にも適応障害は潜んでいたということになります。
しかし、診断は受けていません。
社会生活もできています。
私の場合は、適応障害の存在を知らないまま過ごしていたので
「あー。朝苦手やし、仕方ないか」とか
「夜勤もするし身体のリズムも狂うしそりゃ寝れなくなるよね」
としか思っていなかったからかもしれません。
誰もがなる可能性がある適応障害ですが、ならない人や症状が軽く済む人もいます。
その一方、精神科や心療内科に通う人も一定数いらっしゃるのも現状です。
その原因のひとつにこころの状態は適応障害の程度を大きく左右すると考えています。
ストレスを減らすことやなくすことも大切ですが、今の時代ストレスだらけです。
ここで提案です。
ストレスをなくすことよりも、ストレス自体に順応(適応)する情報を知っていくのはどうでしょう。
これから定期的に配信していきたいと思います。
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