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一月一酒 第12回

初出:月刊ハンガリージャーナル 2005年5月号

Cabernet Sauvignon Selection 2003
醸造家:Takler Ferenc
産地名:Szekszárdi borvidék

 2000年産のワインで一度ご紹介したタクレル・フェレンツ、セクサールド・ワイン地区の恐らく最も優れたワイン醸造家で、数々の高品質ワインで愛飲家を驚かせる彼が、再びこのコラムに登場です。
 彼は同地区で最高品質のワインを生み出すために、伝統的なハンガリー種であるカダルカやキークフランコシュ、国際的品種であるカベルネやメルローの栽培に全身全霊をもって取り組んでいます。そしてその長年の仕事に対してハンガリー・ワイン・アカデミーは2005年度最優秀ワイン醸造家(ワインメーカー・オブ・ザ・イヤー)の称号を授与しました。
 タクレル氏によれば2003年はタクレル家のワイン生産活動における最高の当り年であり、この年は4つの優れた価値あるワインを醸造しました。それらは全ボトルを米国へ輸出したカベルネ・フラン・セレクション、プリマーリウシュ(メルロー)、レグヌム(カベルネ+メルロー)、そして今月ご紹介するカベルネ・ソーヴィニョン・セレクションの4つです。
 カベルネ・ソーヴィニョン・セレクション2003は、ボトルにして全600本分のみ生産されました。市場に卸されるのはこのうち360本だけであり、全てワイン専門店に納入されます。
 このワインは、はっきりとした深い色を持ち、バリク樽による醸造が薫蒸の香りとヴァニラの甘味を感じさせ、全体を様々な森の果実の印象が飾り上げています。
 味わいは稀に見るほどフルーティーであり、このワインを構成する全ての要素が調和し、かつ厚みを持っています。アルコールと様々な成分が甘味を感じさせるだけではなく、長く残る後味においてはミネラル成分にも気づくことでしょう。
 まだ若いワインですので、すぐにコルクを抜きたい方には1時間ほど空気に晒すことをおすすめします。完熟にはまだ1-2年ほどを要します。小売に卸されるのはたったの360本だけですので、今すぐにキープしておくほうが良さそうです。私自身もタクレル・ワイナリーのセラーで試飲をしただけで、まだどのようなラベルが張られるのかわかりません。今回は残念ながら画像をお見せすることが出来ませんが何卒ご理解下さい。
(訳注:2005年4月現在ボトリング中で5月中に納入予定です)

原文:TŐZSÉR Róbert
訳文:高久圭二郎

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 2005年5月号の原稿締切り(同年4月)のときは、まだボトリングが済んでおらず、試飲会などにはラベル無しのボトルでした。そのためハンガリージャーナルではこのような画像を使用しましたが、その後発表する場もないので本稿ワインのボトル画像を撮影することはありませんでした。

 その代わりに、タクレル醸造所の画像をアップします。代表のタクレル・フェレンツ氏とご子息。もともと家族経営のタクレル醸造所です。この親子3人が1つのチームとして素晴らしいワインを活躍しています。

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