一月一酒 第5回
初出:月刊ハンガリージャーナル 2004年10月号
SYRAH 2003 – Mandolás dűlő
醸造所:Vylyan Szőlőbirtok és Pincészet, Kisharsány
地区名:Villányi borvidék
今月はハンガリー最南端のワイン地区、ヴィッラニ産ワインをご紹介します。世界中で好まれている伝統的な、カベルネ、メルロー、シラー種などが、ヴィッラニ地方の気候に最も良く合うブドウ品種です。
ペルシャ原産のシラー種によるワインは、南仏で醸造されたものが良く知られています。また、新興ワイン生産国のなかでは、オーストラリアにおいて盛んに醸造されています。
ハンガリーでは、ここ数年の間に生産されるようになり、徐々にその成果が表れてきました。今回紹介するVYLYAN社のシラーワインは、選ばれた畑で栽培されたシラー種ブドウを同社が初めて手掛けた、2003年度のワインです。
ハンガリー南部に広がるマンドラ畑が、シラー種ブドウに素晴しい結果をもたらし、その色は濃縮された深みを持ち、黒光りするかのようです。その香りは複雑で、薔薇の葉からシナモンまで、上等な毛皮からチョコレートまで、たくさんの要素が含まれています。味わいは滑らかなタンニンの、引き締まったフルボディーです。
まだ数年は熟成が進む若いワインですが、まずは味をみて下さい。そして数本は飲み頃になるまで寝かせておきましょう。2003年という素晴しい「アタリ年」に、合計4,000本のみ醸造された、このVYLYANシラー2003は、すぐに店頭から姿を消してしまうでしょう。
赤身の肉料理、ビーフステーキ、ゲーム(鹿、猪など野生肉の料理)に最も良く合うこのシラーワイン、今すぐ食事に供するのであれば、やはりデカンターの使用をおすすめします。
原文:TŐZSÉR Róbert
訳文:高久圭二郎
写真提供:Vylyan Szőlőbirtok és Pincészet, Kisharsány