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弟子規研究所は子育てを頑張るパパを全力で支援します!②

前回、子育てプランにおいて大切なのは「德才兼備(先に徳育として自己認識力や人間関係構築力を高め、その次に才能開花)」という順番が大切と書きました。またパパの子育てに重要な人間関係として「五倫(5つの関係性)」をご紹介しました。今回は自己認識を深めることについて書きます。

【復習】徳育の実践と学びの順番を示す『大学』

儒学の基礎学習においては「四書五経」という、今でいうシリーズ本がありますが、その中で一番最初に読むべきとされているのは『大学』です。「明明徳」「親民」「止於至善」の三綱領と「格物、致知、誠意、正心、修身、斉家、治国、平天下」の八条目などが書かれています。

この『大学』の八条目の最初の4つである「格物、致知、誠意、正心」では自己認識を深め、改善し、そして心を清らかに静かに保つことを目指します。後の4つである「修身、斉家、治国、平天下」は人間関係構築力を高める順番とその因果関係を示しています。

自己認識:「格物、致知、誠意、正心」

格物<念が発生する>
私たちは生きているとたくさんの念、つまり想いを馳せます。この「想」という漢字は「相+心」つまり心の形相、すがたかたちを表してます。したがって念が発生するということは、心で想い描いている状態を指します。

致知<自分の念を知り、念を善いものに変える>
念はすごい速度で発生しては消えていきます。皆さんこんな経験はないでしょうか。一瞬にして情景が出てきたけど言葉にまとめると1分くらいかかるようなこと。禅をくんだりすると普段思い出さないようなことを思い出したり、余計に色々考えてしまうこと。それは自分の念に意識が向いている証拠です。逆に言えば、普段は意識しないくらい念は速いのです。
致知では念を知ることから始めて、よくない念を善いものに変える修行です。修行と聞くと苦しいイメージがあるかもしれませんが、行い(念を含む)を改修、なおすという意味です。約束の時間に対して、少し遅れてもいいか~という念が発生した際に、いやいやそんなことダメだ遅れずに行こう!これが修行です。

誠意<誠意を続ける>
よくない念を善いものに変える修行を続けると、心が誠意を持ちはじめます。そしてそれをキープすることができるようになります。誠意とは、よくない念を発生させない状態を維持することです。

正心<心を正しく維持する>
よくない念を発生させない状態を維持することができるようになると、心は正しい場所に位置します。どんな外的要因があっても、よくない念で心を乱すことなく清浄無垢でいられます。

*諸説あり

誰もが自分が一番かわいい

東洋思想の基本は人と争わない、対立しないことです。対立や争いの根本にあるのは自分という存在が可愛すぎることです。もちろん自分は可愛いのですが、度がすぎると色んなものを独り占めしたいし、相手に自分の思い通り動いて欲しいと思いはじめます。これが大きくなれば、地球は私の為に回っていると勘違いします。今の社会にもこの現象はあり、自国や自社が可愛すぎることで対立は起きています。実際にそれぞれの立場に寄り添うとどちらも”正しい”と思うので、譲り合いがない平行線のまま、我慢できなくなると争いが始まります。なので、自分が一番かわいい!が続く限り、この世から戦争はなくなりません。

世界平和の近道

自分も可愛いけど、相手も同じように可愛いと思えるようになれば、徐々に対立は減っていきます。さきほどの「格物、致知、誠意、正心」で繰り返し出てきた、よくない念と善い念って何よ!?善悪ってどう判断するのよ?と思った方、対立を生まないようにすることが善であります。相手も可愛いければ、遅刻してもいいっか~とは思いませんよね。

余談ですが「仁」という漢字はまさにこれを表しています。にんべん+数字の二を組み合わせて、自分と相手という2人の人間は一体であるという概念です。「仁者」という言葉があります。これは自分がされたくないことを他者に施さない人のことです。

本題に戻ります。自分も相手も♥を具体的に実践するにはどうしたらよいでしょうか?前回は「父子の関係性で対立をなくしていき、夫婦円満で世界平和につなげていきます」と書きました。

◆親子では『弟子規』の「孝」の以下2点をしっかり実践します。

父母呼 応勿緩 父母命 行勿懶
【読み】ふぼこ おうぶつかん ふぼめい ぎょうぶつらん 
【訳文】親に呼ばれたら、緩慢に応えてはならない。親に用事を命じられたら、行動を懶(=惰)ってはならない。

父母教 須敬聴 父母責 須順承
【読み】ふぼきょう すけいちょう ふぼせき すじゅんしょう 
【訳文】親の教えは敬って聴く。両親にしかられた時は、素直に受け入れる。

◆夫婦間では、以下2点をしっかり実践します。

○ 観功念恩:相手の功労を観て、恩を念ずる(→感謝しよう)
 観過念怨:相手の過失を観て、怨を念ずる(→の逆で、根に持たず忘れてあげよう)

でもせっかく善いこと実践しているときに限って、悪魔のささやきが聞こえてくるんですよね。「お父さんいま呼ぶのかい!タイミング悪いな」とか「根に持たないなんて綺麗ごと、むしろ仕返ししてやる!」など笑。それが普通といえば普通ですが、そんなときこそ今のよくない念をどのように善い念に替えられるか、ぜひ少しでも「格物、致知、誠意、正心」の順に考えてみてください。悪魔はつまらなくなって、きっとどこかに移住しますよ。

車文宜・手計仁志


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