【連載小説】夏の恋☀️1991 シークレット・オブ・マイ・ライフ㉑ 6 teiQrei(ていきゅうれい)|家庭人・文人・バルビゾン派 2024年7月9日 07:30 おれはある種のてんさいなので、記憶力が悪い。 おそろしいことに、そんなおれでも、一句、一文字覚えている文章というのがいくつかある。 ふるいけやかはづとびこむみずのおと とか 春宵一刻値千金 とか これらは正真正銘の、マジもん、名文章の証拠である。 こんな感じで、桃子の文章でも、一文字、句読点にいたるまで、覚えている文章がある。暗唱もできる。中島らもというひとの小説をよんだアル中のはなしわたしは地球人だが、魔法がつかえる、つかえたこどものなまえは、男なら中村草田男 女なら中村草田男それか 女なら吉屋チルー 男なら吉屋チルーそうしたかったなわたしは酒がすき きらいだけど酔っていたいきもちわるくなるのはすごくいやずーっとほろよいがいい 微醺中島らものゆめに、腔腸動物(こうちょうどうぶつ)がでてくる分泌している、それが、香せん液というらしいこの液を湧き水にいれると透明な薄い紫いろにかわるのむと、ごくほのかな甘みが舌先にのこる花の精のような芳香がすっと抜け出るごくごくごくごく、ごくいくらでものめるこれ、酒なのいくらのんでも、二日酔いにはならないし、倒れないずーっと微醺(びくん)わたしたちはこれがのみたいのみたいなあ小説だからフィクションなんだろううそなわけ中島らもというひとだって、のんだことがないないくせに、書いているたべたことがないものを書くひともいるおいしそう、よんでいるだけで腹がなるよしだけんいちいけなみしょうたろうとかずるいなとおもうけど、よむだけでも、よめるだけでも、まあいいそれにはかんしゃしているんだよおかあさんはねチルー草田男おいでおいで、おいでおかあさんになれなくてごめんなさい桃子ノート◇参考・引用 『今夜すべてのバーで』(中島らも 講談社1992第八刷) 『地球星人』(村田沙耶香 新潮文庫令和三年四刷)本稿つづく ダウンロード copy #小説 #創作大賞2024 #文章 #連載小説 #恋愛小説部門 #中島らも #1991年 #夏の恋 #地球星人 #シークレット・オブ・マイ・ライフ #中村草田男 #チルー #吉屋 6 この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか? サポート