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【掌編400文字の宇宙】ミッション・インポッシブル
ベッド・ルーム。
女が男耳元で「ポッシブル?」と囁いている。男の肩に手をかけている。
男「エーット」
「ポッシブル?」
女は男の肩にかけた手をゆっくり下ろし、腕を撫で、さらにその紅色のくちびるを舌で舐める。
男は俯いている。
「……インポッサブウ。ソーリー」
「ノウ。ドンマイン」
「イェア……。バット、アイ・トゥライ。ベイビー」
トム・クルーズは演技も上手だが
おはようございます
焼き肉を食べに行き、食べてる途中
何か変だと思ってたらこれしゃぶしゃぶじゃん
という夢をみました
【掌編400文字の宇宙】小悪魔返歌
素晴らしいお言葉、有難うございました。
わたしたちは、いま、旅立ちますが、その前に感謝とお礼、また感謝のことばを残していきます。
おじいちゃんおばあちゃん、おとうさんおかあさん、ありがとうございます。あなたたちの孫、また子で本当に幸せでした。
先生、先輩、上司のみなさん、ありがとうございます。あなたたちの生徒、後輩、部下で本当に充実していた。
同級生の皆さん、みんなと一緒で、たの
【掌編400文字の宇宙】告朔餼羊
月の初めの日に地域の公民館前で山羊汁がつくられて、ふるまわれる。現在のこの行事は持続が難しくなっている。
まず物価の高騰。山羊の値が高くなった。そしてその処理。昔の男たちはこの首を切り、生皮を剥ぎ、肉を裁断してのちは女たちが内臓を洗い、肉を一口大に切った。
この技術は、庶民の間ではうしなわれつつある。できる人がいないので、民間の業者に頼むことになる。そうなると、原料費にくわえ、加工にも経
【掌編400文字の宇宙】団地の寡(67歳)
朝ごはんはにゅうめんにした。急に食べたくなったからである。
普段は朝は食べない。昼は職場でたべるが、眠くなるので牛乳だけで済ますこともある。夜は、酒をのむ。若い頃のようにはのめないが、それでものめるだけのむ。家にあるだけ飲むので、買う時は量に気をつけなければならない。
二十代後半から三十代の全部、四十代の前半はこんな感じであった。あのころに戻ったのかもしれない。一時期太ったが、体重は減っ
【掌編400文字の宇宙】リスボンの思い出
リスボンに行ったことはないが幾つか思い出がある。
靴の行商人をやっていた。自分で作るわけではなく、職人がつくった靴を革鞄に入れて町に出て売るのである。この商売はどれだけ職人を知っているのかが肝なので、七十人ぐらいの職人と付き合っていた。
アルベルトという男がいてその妻はリズというなまえであった。アルベルトは港湾労働者用の靴をつくり、リズは女用の洒落た靴をつくっていた。ふたりとも名人レヴェ
【訂正版 答え合わせ】さよーならまたいつか!全歌詞解説…「しぐるるやしぐるる」種田山頭火でした
上記事の訂正版です。
「しぐるるやしぐるる町へ歩み入る」について
前回の記事では「しぐるるやしぐるる」を種田山頭火の句から引用したと書きました。これは間違いではありませんでしたが、もうすこし引用部分が長かったという話です。
ちなみに当初、はこのように解説していました。
引用部分で(何かを入れているが、そんなに大事ではない、いわゆる、あそび)としていますが、何かというのは「見入る」「魅
【掌編400文字の宇宙】アリアナとスターバックス
小生はスターバックス・ラテが好きなのでたまに行く。ラテしか頼まない。容量の大きさなどもお手のもので、
「アリアナで」
「え?」
指を差し「グランデ」
「あ、はは、は」
などとコミュニケーションも交わす。
この店の店員は男も女もいるが、見た目がなんだか育ちが良さそうに見える。中身はわからない。
この見た目を好む人もいて、合コンのメンバーを集める後輩に指令書を紙で渡したというニ
障がい福祉課に来ています
Division of Welfare for Physically Challenged
だそうです
おはようございます。
よく寝ました。
最近よく眠れます。
【掌編400文字の宇宙】老人と孤独な娘
そのとき、突然、「Q町四丁目は何処でしょうか?」とひとりの娘が訪ねた。風呂敷包を持っていた。老人は咄嗟に口が言えなかった。
「さあ、……」と黙っていた。娘は黙礼して立去ったのだが、左足は跛であった。老人は「あっ。」と思わず息を呑んだ。跛のためか、不便であった。
そのうち、老人はQ町四丁目の一膳飯屋に寄った。いつも夕方に、ときどき飯屋に寄るのであった。アジが好きだった。見ると、そこに跛の娘が