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成り上がろうなんて野心はない。ただ、この会社を守りたいだけ。


創業社長が全スタッフの前で「10年後に引退する」と宣言した2017年6月17日。

あの日、あのとき、そして今。

社長の言葉を、想いを受け、スタッフたちは何を感じているのか。




現在入社12年目で2児の父でもある奥条達也は、社長引退発表があったあの日のことをこう語った。


「引退宣言を聞いて・・・うん、なんの不安も違和感もなかったな。俺は、“経営層求む!”っていう採用コンセプトを打ち出してた時代に入社してるから。あぁ、次世代にバトンタッチする期限が決まったんだなって。」


当時のナビサイト掲載文



「ただ、あの発表で一番刺さったのが、“みんな力を出し惜しみしてる”っていう社長の言葉。あれは衝撃やったわ。社長には、俺たちのことがそう見えてるんやって。」


奥条は、2013年に新卒入社し、先輩や後輩と「いつか会社を背負っていきたいっすね!もっと良くしていこうぜ!」と熱く夢を語っていた。


そして、社長から引退宣言を聞くことになる1年前の2016年には、社長に直訴しコールセンターのセクションリーダーに就任。


当時の様子

「入社してから5年間、俺なりに一生懸命やってたわけよ。マネジメントも何もわからんかったけど、リーダーやるって手をあげて。

・・・でもたしかに、社長に頼ってる部分はいっぱいあったし、社長の存在は大きかった。だから、社長に頼らず自分たちの実力で駆け上がっていくしかないんやなって思ったのを覚えてる。」


とはいえ、社長がいなくなるという事実を受け止めたところで、何かが急に変化したわけではなかったと言う。

「何か大きく変わったわけではないけど、俺はまずちゃんとスキルと向き合うことにした。

正直、“想いで勝つ!”みたいなことって、誰でもできると思うねん。でも想いだけで組織は変えられへん。どんなコールセンターにしていきたいかとか、どうしたらメンバーが気持ちよく動いてくれるだろうとか、そういうのを考えて形にしていくには、やっぱスキルと実力が必要やった。」



そんな思いで懸命に仲間やスキルと向き合い、2019年には、セクションリーダーからカスタマーサービス部のリーダーへと昇格。


そこで初めて、奥条はあることを目の当たりにした。


「リーダーになったから、経営幹部の会議に初めて参加したわけよ。そしたらその時の議題が “社長勇退後の課題について” で。もう視座が全然違うかった、今の自分とリーダーたちとで。

セクションリーダーやったときは、とにかくコールセンターをもっと良くしようと必死で、どこかで社長引退のことが薄れかけてたというか。だから本当の意味で社長がいなくなることを意識できたのは、このタイミングからやったな。」



そこから月日は経ち、社長引退まで残り3年となった今、これからについてはどう捉えているのか。


「何かを変えて新しいことをしていくっていうのは、多分そんな難しいことじゃないと思うんよ。俺からしたらメンバーみんな優秀やし、エネルギーもあるしね。

一番難しくて大事なのは、これから “何を残すか” やと思う。」



約30年間培ってきた中から、次世代へ繋いでいく過程で何を残すか。

ていねい通販には、社長が「これだけはずっと守り抜いてほしい」という思いで残している【遺言】がある。

関わるすべての人に、いい影響を。
そのために、身近な人から大切に。


「この言葉と思いは絶対に変えないけど、もっと細かく考え続けないといけない。例えば、“いい影響って何?” とか “大切にするってどうやって?” とか。ビジネスをどうしていくか以上に、そこが大事やと思うな。」


新しく築いていくことだけでなく、守り、残すこと。

その意味について、取材中一番と言っていいほど明るい表情でこう語った。


「俺はもう本当にこの会社が好きだし、この会社を100年続かせるっての、本気でやった方がいいと思ってる。こんな誇れる会社、世の中にそんなに多くないんじゃないかと思うくらい。

こういう会社が絶滅してしまった日本を想像したとき、俺、娘と息子にそんな世界にいてほしくないって思うんよね。こういう会社が存続し続ければ、俺が爺さんになったとき、娘、息子、その孫にも誇れるわけよ。ってなると、やっぱ残す意味ってのは絶対あると思うから。

次期社長に成り上がろうなんて野心は1ミリもないし、そんな気持ちでトップに立つことは絶対に無理やと思う。けど、会社を100年続かせていくために、社長からバトンをもらって、さらに次の世代へ繋いでいくことが自分の役割上ベストだという時がもし来たら、そのときは、俺はやるよ。」




社長引退まで、あと931日。

つづく




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