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008 平和をかみしめる旅〜鹿児島&知覧〜

1)旅への後押し
この年の初めに新卒で入社した会社の同期が他界した。すごく親しかったわけではないのにかなり衝撃を受け、さまざまな思いが交差し、そして、旅は行けるうちに行かねばと気持ちがはやった。そう、長い間ずっと知覧に行ってみたいと思っていたのに、これまで休みが取れないだの、一人で行くのはちょっと気が重いだの、行けない理由を見つけては実行に移せないでいた勇気のない自分。しかし、この友人の死のショックから教えてもらったこと、それはいたってシンプル。やりたいと思っていることがあるなら、アクションをおこそうよってことだった。そんなわけで、心苦しくも勇気を出して有休を1日半いただき、念願の地への旅、実行に移した。

2)知覧への関心
知覧への興味・・・父が昭和1桁生まれということもあり、幼少期から太平洋戦争の話をおりに触れては聞いていたということが大きい。現在は平和な日本であるが、戦争と死が隣り合わせにあったのは約80年ほど前のこと。死ぬことが前提で特攻という手段をとって飛んでいった兵士の皆さんはどのような心境だったのだろうか・・・知覧の記念館へ足を運んでその方々の想いを感じてみたい、ずっとそう思っていた。ずるずると後回しにしていたが、同期の死、そしてgo to travelがあってお得に旅できるという下世話な誘因も相伴い、ある6月の木曜日の午後、羽田を出発したのだった。

搭乗し、着席した窓からの景色。けっこうザーザー降り。

3)鹿児島の夜(1日目)
羽田は大雨で出発が遅れた。梅雨時だから仕方ない。知覧さえいければ◎という旅なので、慌てはしなかった。今回の旅は木金土の二泊三日。といっても出発日の午前中は仕事をし、午後休をいただいたので、有休は1日半。相変わらず小心者でおそるおそるの有休申請。気持ち的には1日が限界なのだが、知覧へ行くには一泊二日はかなりの強行軍、勇気を出して1日半、お休みをいただくことにした。これも知覧のためなり。
そんなわけで、予定よりも到着が1時間以上遅れたが、初めての地×一人×公共交通機関のみという場合は駅近便利な宿が基本モットーなので、予約しておいた鹿児島駅前、空港バス直結の「ソラリア西鉄鹿児島」は我ながらナイスなチョイスと一人ご満悦。明日は朝からバリバリ行動するので、着くなりすぐに就寝。

桜島側ではなかったが、部屋から観覧車と駅が見えてこれはこれでいい感じ。

4)いざ目的の地へ(二日目)
金曜日。平日なので、鹿児島駅前は朝から忙しく人が行き交っていた。昨日の雨が嘘のように晴れていて超ラッキー!!元気に起床し、ホテルのバイキングでガッツリ朝ご飯を食べ、いざ、念願の地へ。
張り切っているわりに予習が苦手。さぁどうやっていくのか?(念願の地のくせに!と一人ツッコミ。)アクセス方法を軽くネットで調べたのみではちょっと心許ない。こういう時はなにかと観光案内所が頼りになるんだと一目散に駅前へ向かう。WEBなし時代にバックパッカーをやっていた頃からのアナログ癖がどうも抜けないようだ。知覧行きのバスの乗り場を丁寧に教えていただき、これで安心。いざ出発!

鹿児島駅前ロータリーのモニュメント。薩摩隼人の群像の迫力に圧倒され、撮影せずにはいられなかった。


路線バスなので、観光客はほぼおらず、地元客を乗せてひた走る。平日ってこともあるのかもしれないが、うーん、知覧は有名観光地のはずだがみんなどうやっていくのだろうか?(平和会館前で観光バスと自家用車の大群を見て理解した。車かツアーがメジャーアクセス方法なのだと。)
さまざまな街を通りながら、1時間半近く走っただろうか、ようやく目的地「知覧特攻平和会館」へ到着した。

看板を見ただけでようやくこれた〜と胸が高鳴った。
外には飛行機が展示されている。

平和会館には悲惨なものが展示されているわけではない。メインは特攻隊員の遺影と遺書。だからこそこの戦争、特攻という作戦の虚しさをリアリティを持って肌で感じられ、涙がとめどなく溢れて止まらなかった。生前の父との対話でも時々感じたが、平和な日本であることはなんて恵まれていることなんだろうかと。ちっぽけな自分にできることは限られているが、それでも次世代へも平和の思いを繋げていきたいと改めて思った。館内は撮影禁止だったので、画像での記録報告はできないが、より多くの人が訪れる価値がある場所だと思った。本当に訪れることができてよかった。
ツアーではないし、時間は気にせず、ひたすら自分が納得いくまで時間をかけて見学した。

平和会館の傍には「三角兵舎」と呼ばれる、隊員が出攻するまで過ごした兵舎が展示されていた。
ここで遺書や手紙を書いて過ごしたそうだ。半地下風の造りということもあり、どんよりした雰囲気だった。

見学を終えたのち、平和会館そばのカフェで軽食をとり、歩いて知覧の武家屋敷まで行くことにした。バスの本数が限られていたことと、行きにバスに乗りながら帰りは下り坂だと確認できていたので。武家屋敷のある集落までは、徒歩で30分くらいだっただろうか、ぶらぶら歩いた。

平和会館までの道のりには、特攻隊員がモチーフの灯籠が延々と続いていた。心に残った景色の一つ。
「特攻の母」と言われた鳥濱トメさんが営んでいた富屋食堂。今は博物館に。
軽食をとったカフェで書いた甥への絵葉書を散策の途中で投函。
緑が圧倒的に美しく、濃く、素晴らしいエリアだった。

知覧の武家屋敷についての知識は全くなく、恥ずかしながら当日こんなエリアがあると知った。そんなわけで、主目的を達成したのであとはすべてボーナス!って感じで、肩肘はらず、気の向くままマイペースで見学することができた。武家屋敷群は屋敷や庭園がそれぞれ個性的で、まさに野外博物館。そして、ユニークだったのがエリアに入るためにゲートなどは一切なく、エリア周辺の指定店舗で散策料を払うという仕組み。このゆるさがとてもいい。緑に囲まれてすごく癒された。

席に着くと水ではなく緑茶が出てきて、ほうじ茶を注文したのでお茶×お茶となり、存分に知覧茶を堪能。雰囲気もリラックスできる空間だった。(cafe201

散策も一通りした頃、夕方になってきた。鹿児島市内へ戻るバスの時間(1時間に一本くらいだった)の調整も兼ねて、バス停そばにあったカフェに入り、日記をつけながら過ごす。今日一日感じたほやほやの想いを日記に記すのだった。さぁ、市内に戻るか。
またまたバスに揺られながら1時間強、途中、取引先さまのお店をリサーチするためこの辺?ってところで当てずっぽうに下車し、リサーチ後は、Google Map先生のお導きを頼りに電車に乗ってみたりしながら、鹿児島駅に戻ってきた。気がつけば夕ごはんの時間。グルメ旅ではないし、歩き疲れてクタクタではあったが、せっかくなので何か名物を食したいなと駅前のショッピングセンターで見つけたのはトンカツ!黒豚!一人でも入りやすいし、グッドチョイスだった。(と自分では思っている。)お腹が満たされた後は、入浴剤を購入して、自室でゆるゆると今日1日の疲れを癒すのだった。

トンカツがやってくるのを待つ間に、生ビールを美味しく飲んだことも記しておく。(かつ寿

5)市内散策(三日目)
土曜日。夕方にはこの街を去る。さて、今日は何をしようか。。。趣味と化しているショップリサーチはするつもりなので、天文館という繁華街に繰り出してみることは決めていたが、前日の知覧旅でチラチラ見えた桜島にすっかり恋してしまっていたので、お別れ前にしっかりと見納めしようと決めた。そんなわけで、チェックアウトして荷物をホテルに預かってもらった後は、桜島の一番よく見えるスポット、城山公園展望台を目指すことにした。雨がちょっと心配だったが、まだなんとか持っているので、なおさら朝一番に決行だ。
前日、桜島が初めて見えた時、その雄大さ、大きさにびっくりした。煙がモクモクしているのもすごいし、とにかくTVなどで見ていたものよりも存在感がハンパないと感動した。さて、目指す展望台。これが結構な山道で、駅前から30分くらいは歩いただろうか、ハイキング状態で、たどり着いた時には息がぜいぜいしていた。これは歩いて行くのは無暴な計画だったのかもしれない。。。が、結果的には頑張ってよかったと思っている。とにかく素晴らしい景色だったのだ。とにかくすごい。きた甲斐があった。

いつまで見ていても飽きない景色だった。桜島、カッコよすぎる!

感動的な景色でいつまでも見ていたかったが、今日は帰りのフライトが決まっているため、下山することとする。この高台のふもとに行けたら行ってみたいと一応チェックしてあった(向田邦子さん関連の展示がある)かごしま近代文学館へ立ち寄った。向田さんゆかりの展示物も面白かったし、それ以外のかごしまゆかりの作家についての学びもあった。そして、少し歩いた先の鶴丸城内にあるカフェで小休憩。

和紅茶を注文してみたが、いわゆる普通の紅茶よりも香ばしく、美味しかった。(CHINJUKAN POTTERY 喫茶室
鹿児島の素晴らしさに感化され、帰京するなり、大河ドラマ「篤姫」を観なおしてしまった。
鶴丸城お濠に咲いていた蓮。凛とした佇まいがこの街に似合っている気がした。
旅を終える日にようやく西郷さんとご対面。

西郷さん像にご対面できた頃、雨がポツポツと降り出してきた。しかしまだまだ歩く、歩く。いくつか雑貨店をリサーチし、リサーした雑貨店でさらにおすすめのお店を教えていただいて行ってみたりしているうちに気がつけばもう空港に行かねばならない時間が迫ってきた。同時に昼ごはんも食べずに朝からひたすら歩き倒している自分にも気づく。相変わらず時間配分が下手だ。まぁこれも自分。仕方ない。雨もだいぶ本降りになってきたので、ご飯は空港で食べることにしようと決め、ホテルに引き返して荷物ピックアップ、ホテルの下から出発する空港バスに乗り込んだ。

店舗リサーチ(OWL)
店舗リサーチ(グッドネイバーズ)
店舗リサーチ(D&Department)

鹿児島空港へは小一時間だろうか。まだまだ見たかったという心残りはあるけれど、一番の目的は果たせたし、大満足。また来れたらいいなという淡い期待を持ちながら、帰路に着く。その前に、食べ損ねていたランチもしっかりいただくとする。

ミルキーなラーメン。優しい味。
奄美などの離島へもここから行けるようだ。

6)旅を終えて
あの旅から一年以上経ってしまった。とはいえ、まだ桜島の素晴らしさや知覧での胸に迫ってきた感覚はしっかりと残っている。鹿児島はまだまだ見どころがたくさんあるようなので、機会を作ってまた訪れたい。🧳

お土産の一部(桜島の葉書)
お土産の一部(お茶いろいろ)
お土産の一部(ラムドラ)

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