三重の書家が東京のクイズ番組に出た話②
前回のあらすじ
三重県の書家が99人の壁に自分から応募したのに東京遠いわと面接断ったら名古屋の面接によばれたのでした。
ということで、あんな失礼な返事に良くもう一度声をかけようと思わはったなぁ、と私はメールを見つめていた。
メールには面接会場が書いてある。
私は迷い無く住所を検索した。
なぜならばこのメールが本当に番組からの本物のメールとは思えず半信半疑だったからである。
私は人一倍、騙されたくない、という気持ちが強いように思う。
私の両親は書道用品店&表具屋を経営し、父は結構な学術系実力派の書家である。
書道界の門前小僧として育ち、大学・大学院は書道学科(書道理論専攻)。
社会人になっても書道の授業(講義含む)をやっていて、小難しい理論を元に作品を作る、そんなどっっっっぷり書道の世界しか知らないといってもいい人生を送ってきた。
多分友人知人も書道関係者のほうが書道関係者以外よりも多いのではないだろうか。
だから、つまり、私はかなりな世間知らずなのである。
なので、自分は騙されやすい = 自己防衛せねば!
という思考なのだ。
そんな自分に問題は感じていない。おかげでアイスランドやノルウェーやチェコなど海外に女一人旅しても問題が無かった。
余談が長くなったが、そんなわけでメールにも疑心暗鬼であった。
検索に出てきた建物をストリートビューで見、この建物に入っている会社を検索し、口コミを検索し、悩んだ結果行くことに決めた。
目立って怪しいところが無かった事と名古屋駅で北海道展を開催していたのが理由である。ラーメンは好物だ。
当日、ドッキドキしながら会場へ。非難経路を確認しながらドアを開けると私以外の面接の人は皆来ていた。集合10分前だった。
面接は個別順番である。待っている間、隣の若者が「この面接のために飛行機で来た」そうで、新幹線代を惜しんだ自分がどれだけなんとなくここにいるのかと恥ずかしくなった。恥ずかしがる必要はなかったのだが。
若者はいかに自分の得意分野を愛しているかをとつとつと語り、自分のジャンルの問題にはやく出会いたいと目を輝かせていた。せっかく都会に来たのだから帰りに祖母の誕生日プレゼントを買うとも言っていた。キラキラした若者だった。
面接が始まった。実に和やかな面接であった。スタッフはとてもにこやかで人当たりが良く、友達の友達と雑談しているぐらいのラフさだった。
「2ヶ月後ルーブル美術館の地下ギャラリーで作品が展示されるけれど、七割方詐欺にあってると思っている」と話したら大爆笑された。
平和な面接だったが知らない人とたくさん喋ってヘトヘトになりつつ名古屋駅の北海道展へ。
絶品ラーメンをすすりながら、いつも引きこもって作品書いている生活からすると今日は刺激が強かった、私なりに頑張った、とささやかに自分を褒めてみた。
後日、面接を通過しましたので出場できますと連絡が来た。
ルーブルの話そんなに面白かったのかな、と思った。
ちなみにルーブルに出した作品は一番上の写真の作品である。
メールも本物だったし、ルーブルも本当だった。
③へつづく!!
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