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シン映画日記『対峙』

MOVIX三郷にてアメリカ映画『対峙』を見てきた。

とある高校で起こった銃乱射無差別殺人事件の6年後に、その事件の被害者の両親と加害者の両親が教会にある一室で話し合う会議が行われた。

ちなみに、加害者は事件直後に自害して亡くなっているため、当事者なし、まて事故等の回想シーンが一切ないまま、4人のそれぞれ息子を亡くした親たちの正しい回答がない話し合いが行われる。

そこには無念、後悔、憤慨、憤怒、事件による焦燥、疑念などマイナスな気持ちが渦巻く、重い空気・空間を見せる。

タイプとしては『十二人の怒れる男たち』や最近なら『ヒトラーのための虐殺会議』といったトークセッション、討論・会議映画の類にあたり、さらに最も近い作品を挙げるなら、トークの対象者たちがいない、回想シーンがほぼない討論映画としては日本映画の『キサラギ』が最も近い。
が、本作のバックボーンはマイケル・ムーア監督のドキュメンタリー映画『ボーリング・フォー・コロンバイン』やガス・ヴァン・サント監督作品『エレファント』などといった事件の後日談的な話で、クリント・イーストウッド監督作品の『ミスティック・リバー』のショーン・ペンみたいな親の話でもあり、
対象者が亡くなっている以上に討論対象者たちへの渦巻く負の念が根本にある。

正しい回答がない中で、なかなかこれという答えにたどり着けない重さは凄く、
また終盤にある変化を見せてからの急展開も凄く、着地点が良い。

主な4人のうち『ハリー・ポッター』シリーズのドラコ・マルフォイの父親役のジェイソン・アイザックスはベテランでそこそこ出ているし、リード・バーニーやアン・ダウドも同様のベテラン。
唯一、マーサ・プリンプトンのみ若干ブランクがあったが、彼女は『グーニーズ』のヒロイン・アンディの友人のステファニー役の子だったりする。

ラストにある音楽演出があるが、これが文字通りのカタルシスになり、重さを和らげる。

『バビロン』とは真逆の地味な作品ではあるが、だからこそ個性を発揮した映画ではある。

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