シン映画日記『M3GAN/ミーガン』
MOVIXさいたまにてブラムハウス・プロダクションズ製作映画『M3GAN/ミーガン』を見てきた。
原案・製作こそはジェームズ・ワンだが、監督は新鋭のジェラード・ストーン、原案・脚本は『マリグナント 狂暴な悪夢』のアケラ・クーパー、主演で製作総指揮に『ゲット・アウト』のヒロインだったアリソン・ウィリアムズとかなりスタッフ側に熱がある企画。原案がジェームズ・ワンだからか発想は良いが、中身は典型的なドールホラーで新鮮味がない上に、恐怖描写やゴア描写が薄い「寸止め」のマイルド演出で色々と惜しい。
少女ケイディは家族でスキーに行く途中で交通事故に遭い、両親を失い、叔母のジェマの家に居候をすることに。ジェマは自分になつかず遊び相手がいないケイディのために開発したがお蔵入りになってたAI人形「ミーガン」を与えることに。まるで人間に近いAI人形にケイディは夢中になるが周囲で徐々に奇妙なことが起きる。
冒頭の少女ケイディに巻き起こる不幸や「ミーガン」の前に夢中になってたファービー人形なんかも悪くなかったし、そこからのトラウマからの立ち直りのドラマとしても上々だった。
それに主人公ジェマと隣人トラブルやケイディとの折り合いの悪さ、それまで自宅学習で育ったケイディの一般の学校に対する不安や心理療法士とうまく行ってない様子など、面白要素がいくつもあり、中盤ぐらいまでは良作の雰囲気さえあった。
肝心のAI人形というかほぼアンドロイドの「ミーガン」も不気味さ十分でいいし、そこからAIへの依存からのホラーへの切り替わりも悪くなかった。が、ホラー映画として肝心の残虐描写は基本的には見せない方向で展開。誰かが酷い目に遭ったハズなのに、警察の仕事が非常に早く、処理されている状態からしか映らない。
それと徐々にホラー仕様になる「ミーガン」だが、後半になればなるほどAIが関係なくなり、そうなると『チャイルド・プレイ』シリーズのチャッキーや『死霊館』シリーズのアナベルとさほど変わらない。さらに突っ込むと隣人トラブルや他様々なトラブルもネタとしてはいいのにそのどれもがもう一つ。
個人的にはリー・ワネル監督・脚本作の『透明人間』みたいな捻りがあるのかと思ったが、終わってみればごく普通のホラー映画。ブラムハウス・プロダクションズ製作で原案がジェームズ・ワンとくればどうしても期待してしまう。野球で言えば満塁のチャンスでゲッツーでチェンジになったような気分だ。