シン・映画日記『ホット・シート』
シネマート新宿でメル・ギブソン出演作『ホット・シート』を見る。
元ハッカーのIT技術者のオーランドがある日、職場の自分の椅子の下に爆弾を仕掛けられ、謎の脅迫者の指示に従い巨大証券会社のコンピューターをハッキングすることに。そのやり取りの中で爆発が起こったため、近隣公園の爆破事件の処理に当たっていた爆弾処理班のベテラン隊員のウォレスやSWATらが現場付近に急行する。
ホット・シート、要は椅子の下の爆弾だが、これ自体は90年代ぐらいの知能犯が出るサスペンスにあったりするが、そこから監視カメラを使った劇場型犯罪の展開がスリルがあり、小規模ながら良質なスリラー。囚われるオーランドのことをあまりにも丸わかりな状況から犯人は主要登場人物から絞られながらも、しっかりと意外性がある展開を見せる。その根拠・理由もしっかりとあるし、随所である名画を示唆し、劇場型犯罪と名画の様相をなぞらえていて、非常にしっかりとした脚本である。
オーランドが囚われる部屋、エレベーター、サーバールームなど弊所の描写にも長けている。
メル・ギブソンが老爆弾処理班で目立ちながらも、主人公・オーランドを演じるケヴィン・ディロンがしっかりと好演。あのマット・ディロンの弟で、2010年代前半まではテレビドラマには出ていたが、映画には13年ぶりの出演。ケヴィン・ディロンのなぞのブランクと突如の主演自体がミステリーだ。
しかしながら、ラストの落とし所が無難なため、ケヴィン・ディロンが久しぶりに頑張り、メル・ギブソンが目立つ役で出る良質B級スリラーで落ち着くのが本当に惜しい。