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出逢った稚児といい感じになるんだけどいろいろ大変なことになる話(「信心ふかければかならず利生ある事」『曾呂里物語』巻第二)
南都興福寺の宗徒に、何某という律師がいた。 春日山の麓に、しのやの地蔵堂という、霊験灼な地蔵が坐す地蔵堂があった。 律師は長年この地蔵堂に通っていたが、ある日、少し他事でごたごたしてしまい、日は既に暮れ、酉の刻の終わりごろ(午後七時ごろ)から参詣した。 道の柴の露を払う人もなく、心もとなく、物寂しく思っているところに、どこから来たのかわからないが、一人の稚児が忽然と佇んでいた。 「こんなところにどんなわけがあってお入りになったのですか?」 律師が尋ねると、稚児曰く、 「そな