暗闇のエンターテイナー 36
残り10
An illustration by ASTERISK
〜僕が残してしまったもの〜
ある夕方
瑠花はドアをバタンと閉めるや否や
部屋のドアまでもバタンと閉じて
部屋にこもりっきりになった。
かすみが名前を読んでも応じない。
何度も呼ぶと
ほっといて!今いい!
叫ぶのだった。
何かあったのかなぁ?
イジメか何か…
部屋が静かになるのを
見計らってかすみは部屋に入った。
瑠花は布団をかぶったまま
クスンクスンと泣いていた。
鼻と目は赤くなり
かすみの顔を見るなり
また湧き水のようにジワジワと目が滲んできた。
嗚咽こそなかったものの
しばらく背中をさすりながら
落ち着かせた。
瑠花から言葉が出るまで
ずっと待っていた。
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