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暗闇のエンターテイナー 23

残り10

狂ったような嫉妬の夢から覚めると
身体中が痛かった。

また床で寝てしまっていた。

ビールの空き瓶のように。


少し明るくなり始めたその日の朝
カラスが街の食べ残しを取り合っている。


僕は一気にシャワーを浴びて
外に出た。


地下鉄を乗り継ぎ、特急に乗った。

休日の朝だからか、
慌ただしさは無かった。


特急にしては速度の遅い列車の中
街から次第にビルやコンクリートが消えていった。


ウトウトしてると
やがて車掌の声が目的駅を伝えた。

お昼手前だった。


駅のロータリーのミスタードーナツは
家族で溢れていた。


甘くて溶けそうなドーナツとコーヒーを
ゆっくり食べながら

メールした。


昼間の光は眩しくて
焦げてしまいそうだ。


メールは数時間経ってから返ってきた。

かすみは眠っていた。  

僕のメールに
いつものように
ネコみたいに
おはようと書いてあった。

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