暗闇のエンターテイナー 26
残り10
静かな夜が続いた。
かすみは愛に誠実だった。
夫が犯罪者になってしまったことは
胸の奥にしまっていた。
僕は
羞恥心と情けなさと劣等感と戦っていた。
かすみはこんな僕を
誠心誠意支えてくれた。
わたしも一緒に悪いことしちゃう~
むしろ茶化すくらいの姿勢で
いてくれた事が嬉しかった。
もちろん道徳に反する行為には
賛成こそしないものの、
2人で誓い合った事に対しては
全く影響がなかった。
しかしかすみは時々、胸がチクンと
するのが気になっていた。
街にカボチャが飾られる頃、
かすみはアルバイトをすることにした。
地下鉄で2つ離れたフラワーショップ
で短時間バイトを週に何回かするのだった。
花屋はいつも盛況だった。
季節の花が月毎に替えられ
お客さんからの
花束作りで大忙しだった。
水で手は冷たいままだし、
店頭からは冷たくなり始めた風が
常に当たっている。
勤務時間こそ、そんなに長くはないが
寒がりのかすみにとっては過酷な職場だった。
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