暗闇のエンターテイナー 34
残り10
〜新しい人生〜
いくつかの年が過ぎ、
マフラーとウール生地が
手放せなくなる頃
かすみは
窓の内側に滴るしずくをボーッと眺めていた。
1人になると忘れられない思い出たちが
かすみを取り巻き始める。
瑠花は
まだ学校から帰ってくる時間じゃない。
雪が降るごとに
かすみの僕の記憶も少しずつ薄れ
日常を過ごす事ができるようなった。
窓のしずくが
いくつかの細い線になり
太くなって滴った時
自かすみは自分も泣いていることに気づいた。
最後の卒業式とでもいうべき
時間だった。
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