「社会心理学」の面白さ
試験勉強の気分転換に、そろそろテストがやってくる「社会心理学」の面白さと優しさを語りたい。いわゆる「心理学(Personality Psychology)」が社会における人の行動を「個人の性格や気質」の視点から考えるのに対して、「社会心理学(Social Psychology)」はその人の行動を形作る「環境(社会)」に焦点をあてる。
私がもっとも惹かれたのは「根本的な帰属の誤り(Fundamental attribution error」。固い言葉だらけなので具体例を使って語っていく。
ある学生が授業中に寝ていた。ある教授は「君は不真面目な人間だ!」と怒った。
これが「根本的な帰属の誤り」だ。
「帰属の誤り」というのは、ある人の行動の「原因」を見誤るということ。教授の脳内では「君は授業中に寝ている。それは、君が翌日の授業を考えることなく夜更かしをするような不真面目な人間だからである。」と勝手に結論づけられている。
もしかしたら、経済的な事情で家族のために夜遅くまでアルバイトをしなければならなかったのかもしれないのに。その人は果たして「不真面目」だろうか。
根本的な帰属の誤り:個人の行動を説明する際に、人は内的要因(気質や性格)にその原因を求める傾向にあり、外的要因(状況や環境)を軽視する傾向にある。
うん!
これはもう日常のいろーーーーーーーんな場面で目にする。嫌という程目にする。ニュースで取り上げられる犯罪者、アルコール中毒者、薬物中毒者、引きこもり、、、数え切れないほどあらゆる人が「異常者」であるとされる。「普通」な私たちとは異世界にすむ「異常者」であるとされる。アルコールや薬物に溺れる人は「意思」の弱い人であるとされる。そこで、「アルコールに依存することになるほど堪え難いショックや不幸があった」とはなかなかイメージされない。実際には、「普通」と「異常」を分けるものはわずかな差でしかないのに。分かつものは、小さな「外的要因」の積み重ねにすぎないのに。
その人は確かに「能動的」に自分からお酒を飲んだ。でも、ある意味それはショックという「状況」によって「受動的」に飲まされたとも捉えることができる。そもそも、完全に自分が出発点となる「意思」なんてあるのだろうか。お酒を飲もうとする意思だって「ショック」という「環境」の作用によって生み出されたもの。(この話はいつか言語学の「中動態」と哲学者「スピノザ」のnoteで語りたい。)
「社会心理学」は、ある人の行動の原因を「その人」に求めるのではなく、その人を取り巻く「環境」に注目する学問だそう。ある意味で人に優しい学問だと思う。
最後まで読んでくださってありがとうございます!