#03 韓国のカフェをめぐった時のこと 後編 【喫茶 手紙寺分室ができるまで】
こんにちは。手紙寺発起人の井上です。前回は、2019年に訪れたソウルの倉庫街に生まれたカフェについて紹介しました。
ソウルの中心地は不動産の高騰で、特に若者が新たにお店を開くことが難しくなっているようです。
そこで倉庫街以外にも、以前にはあまり人が集まっていなかったソウルの郊外のあまり若者が集まらないエリアの商店街に新たなカフェやお店が出来つつあります。
古い商店街の面影を残したカフェ
倉庫街を最初に訪れたときには、一体どこに連れて行かれるんだろうと少し不安になるほどの場所でした。通りから奥まった階段をどんどん降りていくと、商店街が見えてきました。しかし商店の多くは閉まっていていわゆるシャッター通りのような雰囲気でした。
しばらく奥まで歩いていくと、商店に挟まれて急に鮮やかな色のお店が現れました。
それはまるで、アーティストの作品を展示しているような場所でした。
ここはカフェですが、もはやしっかりした窓枠すらなく、お店の中は真っ白に塗られていました。石膏の上にはクッションが置かれているようでした。
他にも銭湯をそのまま活かしたつくりのお店などもありました。
こちらのお店はリフォームを抑えて、工事跡を活かしていました。
各商店が複数階建てのつくりをしていて、屋上がある建物が多く、屋上を使ってルーフトップバルコニーでくつろげるカフェにしている店もありました。
入り口だけ新しく製作して、建物の中は以前のつくりを活かしている店も。
店の発信はSNSで
お店の宣伝をどうしているのかと思いましたが、紙やポスターで宣伝しているだけのお店が目立ちました。
このようにインスタアドレスが記されており、インスタで調べるとお店の様子をお客さんが掲載しているので、それが拡散して宣伝ができているようでした。
当時はまだ10店舗ほどでしたが、今はどのくらいお店が増えているのか、コロナが落ち着いたらまた訪れて皆さんにご報告できればと思います。
これで、いいんだ。これが、いいんだ
韓国でであった数々のカフェ。
そのどの店にも、作り込み過ぎないことで生まれる、人の優しさを感じました。
そして私は「これで、いいんだ。」と気付きました。
韓国のカフェを巡って気付いたことは、素敵なカフェを開きたいという気持ちが最初で、お店をつくるための条件が先ではないということでした。そして誰かを想い、自分とその人との時間にゆっくり浸れる空間には、余計なつくり込みはなるだけないほうがいいということでした。
今後の「喫茶 手紙寺分室」に向けて、大いに励まされたように感じました。
他にも、ソウルで出会った手紙を書くためのカフェ、そして上海を訪れた際に見つけた「手紙カフェ」についてもどこかで紹介できれば幸いです。
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井上 城治 | 手紙寺 発起人
1973年生まれ。東京都江戸川区の證大寺(しょうだいじ)住職。一般社団法人仏教人生大学理事長。手紙を通して亡くなった人と出遇い直す大切さを伝える場所として「手紙寺」をはじめる。趣味は、気に入ったカフェで手紙を書くこと。noteを通して、自分が過ごしたいカフェに出会えることを楽しみにしています。