
悪魔の病気? トゥレット症候群を是非知ってほしい!
読了時間:約7分
自分の意思と反して突然体が動いたり、大きな声や暴言、卑猥な言葉を発してしまう、『トゥレット症候群』という難病をご存知でしょうか。
1) トゥレット症候群ってどんな症状?
チックの種類

基本的な特徴
複数の運動性チックと音声チックが1年以上続く
通常、子ども(18歳以下)の時期に始まる
症状の程度は人によって大きく異なる
ストレスで悪化することがある
眠っている間は起こらない
特徴的なこと
チックは一時的に抑制できることがある
集中している時は症状が和らぐことも
年齢とともに症状が変化する
必ずしも一生続くわけではない
2) トゥレット症候群の人口
人口
国内の患者数は約6万人と推定されています。
そのうち難治性患者は約6,000人、重症患者は1,000人以下
発症頻度
人口の約1.0%から3.8%がトゥレット症候群に罹患している可能性あり
学童期の子どもの約0.3〜1%
男性は女性の3〜4倍
重要なポイント
軽症の場合、診断されないケースも多い
実際の数は統計より多い可能性
成人期に症状が改善する人も多い
3) チック症との関係
チック症とトゥレット症候群の違い
チック症:単一または複数のチックが1年未満
トゥレット症候群:
複数の運動性チックと音声チックの両方
1年以上継続
18歳以下で発症
4) 発症の原因
主な要因
遺伝的な影響が強い
脳内の神経伝達物質の働きの違い
環境要因との相互作用
重要な理解
本人の意思で起こっているわけではない
しつけや育て方は原因ではない
ストレスは症状を悪化させる要因の一つ
5) どのような治療や改善方法があるの?
基本的なアプローチ
症状の程度や生活への影響に応じて対応
必ずしも治療が必要とは限らない
主な対応方法
非薬物療法
包括的行動療法
リラックス法の習得
ストレス管理
薬物療法
症状が強い場合に検討
専門医と相談しながら進める
環境調整
生活リズムの安定
ストレス要因の軽減
理解ある環境づくり
6) 周囲の人にできること
理解と支援のポイント
チックに注目しすぎない
本人のペースを尊重
必要な配慮を確認する
ストレスのない環境づくり
学校や職場での配慮
周囲への適切な説明
休憩時間の確保
必要に応じた別室での作業
いじめや差別の防止
おわりに
トゥレット症候群は、決して珍しい症状ではありません。 適切な理解と支援があれば、多くの方が充実した生活を送ることができます。
私たち一人一人が理解を深め、必要な配慮を考えていくことで、 誰もが暮らしやすい社会を作っていくことができるのではないでしょうか。
参考になる問い合わせ先
神経内科・精神科の専門医
発達障害者支援センター
患者会・家族会