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離乳食のトライアンドエラーを積み重ねた先で形作られるもの

赤ちゃんの「食」は、どの時点から始まっていると思いますか?

初めて離乳食を口にした日からでしょうか。
食卓に参加し始めた日からでしょうか。
初乳をなめた時でしょうか。
お腹の中で羊水を飲んだ時でしょうか。
発生の段階で味蕾(味を感じる細胞)が完成した時でしょうか。

こう考えると、赤ちゃんの食のはじまりは、わたしたちが設定するものではないことに気づかされます。赤ちゃんの食の始まりは、赤ちゃんだけが知っている。そしてそれは連綿とつながる発生と発達の中の一時点で表されるものではない。
ですので、「◯ヶ月になったから離乳食をはじめる」という一般的な離乳食におけるガイドは、「食べられる環境を作るための目安の時期」であり、食の始まるタイミングを親側が設定するわけではない、と言うことは押さえておきたいポイントです。

さらに、咀嚼運動は全身運動の中の一つであり、寝返りやずり這いなどができてくるうちに咀嚼運動ができる身体が作られていくことから、それぞれの発達を見ながら食の環境を提供していくことが大事であると考えています。そして発達はまっすぐ直線的に進むものではなく、トライアンドエラーを繰り返して段階的にできるようになっていくもの。
焦らず、急かさず、目の前の赤ちゃんが「いま何ができているのか(身体の発達)」と「いま何をしようとしているのか(こころの発達)」を見ながら、その時その時に必要なトライアンドエラーができる環境を用意できれば良いな、と思っています。これは親側にも言えることで、トライアンドエラーを繰り返して、環境設定をしていくと良いです。お互いに最初からうまくやろうとしなくて大丈夫。離乳食を通じて赤ちゃんのことをわかっていけるなら、失敗したり、間違ったり、悩んだりすることも人間関係の形成と成熟において意味のあることなのではないでしょうか。

間違うこと(エラー)を恐れるよりも、まずは良いと思われることをやってみる(トライ)。食べ物を落としたり、喉の奥までつっこんでしまったり、ぐちゃぐちゃにして口に運べなかったりしてもなお、食べようと手を伸ばす赤ちゃんを見ていると、トライアンドエラーの達人だなと思います。親だからちゃんとしなきゃ、子どものために常に正しくあらねば、良いものを用意しないと…と考えておられる方も多いと思うのですが、ちょっと肩の力を抜いても良いんじゃないかな。わたしたち親が自分の失敗を受け入れ、他人の失敗を許容することは、食事の際の「楽しくあたたかい雰囲気」にもつながります。

積み重ねたエラーが、いつかの成功と、その先の自己形成や自己信頼感、レジリエンス(精神的回復力)、そして親子間の信頼関係につながっていくと思っています。

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