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#05【何もない主婦がフリーランスになるまで】嗚咽するほどに仕事が楽しい


↑前回の話


元ダメダメ限界会社員。
キャリアもスキルも実績もない主婦がフリーランスになることを決断するまでのお話。


手術がきっかけで、憧れの人のもとで働かせてもらうことになった。

その続きです。


仕事が、、、楽しい、、だと?


いただいた役割のアクセサリー制作。
初めてだったけれど楽しかった。

大好きなデザイナーの近くで働けて、大好きなアクセサリーの裏側を知ることができる喜びで満たされた。

制作スタッフとしてそのブランドの一員を名乗れることがステータスに感じた。


アクセサリーはハンドメイドの部分もあり簡単ではなかったけれど、過去に出したことのない集中力を発揮して仕事を覚えた。

一番最初に、難易度が高く工程も多い「メイン商品」の作り方を教えてもらった。

それを何個も何十個もひたすら作り続けた。

繰り返し作る中で、作り方の効率化を思いつきそれを提案してみたら採用された。

褒めてもらえ喜んでもらえた…。

小さなことだったけれど仕事で褒められるって、喜ばれるって、そんなことは初めてだったので嬉しくて嬉しくて嗚咽しそうだった。
涙が出そうだった。

多少やり方を変えても大丈夫そうだ、
この立ち位置は、プラスαでより効率的に作ることが求められているのかも。

と気がつき、この商品の作成工程を徹底的に見直した。

試行錯誤の末に工程を図面化。
こっそり何個かテストした。

勝手なことをやりすぎたかな?と思いながら恐る恐る提案してみると、なんと感激してくれて正式な作り方として採用された。

前にいた会社とは違い、提案から採用、実行までの流れの早さに驚き、ワクワクし、生まれて初めてやりがいを感じた。(もちろん組織の大きさが違うから決済の速さも違う)

良い歳をしてカラカラのミイラになりつつあった承認欲求もそこで満たされた。


自由な裁量で主体的に動く心地よさ


さらにデザイナーから、

「気がついたことはなんでも提案して。どんどんやってみてOK。」

と言ってもらえたことで自分の中で解放される感覚が巡った。

それまで疑問に思っていた制作に関する改善点を一つ一つ実行していった。

マニュアル作りやデザイナー自身のタスク管理、パーツの管理、全体のスケジュール管理などツールを導入して共有、他のパートの制作の割り振りなど、業務外のこともやってみた。

業務自体は革命的なことをしたわけではないけれど、とにかく『自由な裁量の中で自分の思い通りに仕事をしていけること』が心地よかった。

「私って社会不適合者じゃなかったんだ。」

「こんな私でも役に立てる場所があったんだ」

と、どん底まで下がっていた”働く自己肯定感”が息を吹き返していった。


やりがいだけじゃない人望という魅力


ここまで仕事が楽しいと思えたのは、やりがいや充実感があったことに加えて、デザイナーの魅力的な人柄も大きい。

そもそも、新婚で、子どもを望んでいて、さらに病気を患っていた私。

普通の会社だったら採用したとしてもすぐに辞めるリスクが高すぎて、どこにも雇ってもらえなかったと思う。
そんな、経営者視点から見て明らかに扱いにくい状況の私を快く受け入れてくれたデザイナーの懐の深さは今思い出しても泣ける。。

また、デザイナーは得意を存分にデザインに活かしながら、いつでも自分自身の弱みを曝け出していて正直で頼り上手だった。
誰だって得意なことも不得意なこともある、という考えを持っていた。


つまり、得意だけに集中して伸ばし、できないところはバッサリと切り捨てていた。
まさに経営者。

ビジネスライクに見えるけど人間らしくも見えてもっと好きになった。

『愛のあるサイコパス』


私は敬意を持って彼女を陰でそう呼んでいた。



このブランドチームは、上下関係のある組織ではなくて一人一人が対等に向き合い、欠けているところは補い合える「チーム」のような組織を目指していた。
(今の私が自分のチームでも大切にしていることでもある。)


仕事に愛を持ち込めるんだよ


そして何より、デザイナーは所属している人間に惜しみなく愛情を注いでいた。

年齢も仕事のポジションも関係なく、相手を一人の人間として、仲間として愛していた。

家族以外の他人から、しかも仕事関係の人間から愛情をもらうということは私とってカルチャーショックだった。

私は生まれてはじめてやりがいをもって働くこと、生まれて初めて愛をもって働くということを体感した。
だから私も存分に仕事や仲間に愛を持ち込んた。

そこでは感謝の応酬が起こり温かい気持ちで仕事ができた。


新しい居場所、自分で手に入れたやりがい、理解のある仲間。
会社員の時にはなかった溢れ出てくるモチベーション。

毎日が楽しくて、起きている時も寝ている時もいつでも幸せだった。
嗚咽しそうなくらい。(2回目)


間違いなく、ここに飛び込んだことは私の人生を大きく変えた出来事だった。


続く。

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