#06【何もない主婦がフリーランスになるまで】突然のクビ宣告!?
元ダメダメ限界会社員。
キャリアもスキルも実績もない主婦がフリーランスになることを決断するまでのお話。
素晴らしい職場に出会い、デザイナーのことがもっと大好きになり、気を許せる仲間にも恵まれて愛情いっぱいで楽しく働いていた。
アクセサリー会社での仕事が私にとっての生きがいであり居場所になっていた。
その続き。
これからもっと役に立って、このアクセサリーブランドが世に出て有名になるところに立ち会う。それからデザイナーに恩返しをする。
そんなことを考えていた矢先、
例の、控えていた手術が白紙に戻った。
まさかの、、、
切除予定だった腫瘍が小さくなっていた。
そして、
妊娠した。
この世の摂理なのだろうか
不思議なもので、
子どもが望めないかもしれない、でも子どもが欲しくてたまらない、と自暴自棄になって世界中を恨んでいた時ほど妊娠は遠ざかっていた。(自分で自分を嫌いになる程周りを憎んでいた)
逆に仕事が生きがいになり、そういうドロドロした感情が溶けて子どもに対しての執着が薄らいだあたりで授かった。
自分が生きたいように生きはじめたからかもしれない。
不思議ながらもいろいろなことが腑に落ちるタイミングだった。
逆に、仕事を休みたくない、子どもも良いけどこのままずっと働き続けていきたい、、
そんな贅沢な気持ちの中で後ろ髪を引かれながらも産休・育休に入った。
育休中に2人目も妊娠、出産。
仕事から遠ざかり、ブランクは3年になっていた。
その間、復帰したくてしたくて仕方がなかった。
育休が明けるのを首を長くして待っていた。
そして、育休明けを半年後に控えたある時、
デザイナーと今後の働き方について話すために食事をすることになった。
憧れの人と再会する浦島太郎
久しぶりに憧れの人に会える喜びで浮き足だった。
レストランに現れたデザイナーは相変わらず美しくて、まばゆいオーラを放つ素敵な女性だった。
私はというと育児の寝不足でやつれて、俗世や美容からも離れて、育休の間に年老いた気がしていた。
まるで浦島太郎みたいだな。
キラキラデザイナーを目の保養にしなから子育ての話、など近況を話した。
デザイナーはすでに出産も育児も経験している先輩なので経験談や育児のアドバイスをもらって楽しく食事を楽しんだ。
話の中盤、
「今日は伝えたいことがあるの。」
と真剣に切り出すデザイナー。
いよいよ復帰の本題に入るかなと姿勢をただして意気揚々と向き合うと、彼女の口から衝撃の一言。
「独立してみない?」
クビ宣告を疑う浦島太郎
「伝えようかギリギリまで迷った。
人が足りなくて、即戦力だから復帰してパートとして働いてくれたらそれが一番うれしい。
でも、あなたは、せっかく戦略的でこちら側の視点がある人だからうちでパートをしているだけの人生ではもったいないと思っている。それを伝えたかった。」
え?
絶句とフリーズ。
冷えて固まりガリガリくん。
独立?
こちら側の視点?
頭中にハテナが浮かんでいた。
何を言われている?
あぁ…そうか。
育休明けだもんね。
これは、遠回しにクビを宣告されてるってことかな…。
私が休んでいる間にカクカクしかじかあって、私は必要なくなったのかな…。
苦虫を噛み潰したような(実際に苦すぎた)複雑な顔をしていた私をみて、デザイナーは丁寧に理由を説明してくれた。
海へ出ろと背中を押される浦島太郎
これまで私が改善してきた内容、私と他のパートとの違い、仕事への向き合い方。
デザイナーがいち経営者として私を観た時に、パートの役割以上の可能性を感じてくれたこと。
ゆっくりと説明してもらいようやく理解できた。
どうやら自分が期待してもらっているようだということ。
どうやら背中を押してもらっているようだということ。
冷静になって意味が分かると、肩の力が抜けた。
クビ宣告じゃなかったのね。。。
憧れの人に自分の能力を認めてもらえていたんだ、とその時初めて知り、憧れの人にそう言ってもらえた喜びでいっぱいになった。
あの時がむしゃらに頑張ってよかった。
信じられない気持ち。
ありがたい…。
ただ。
それはそれ、これはこれ。
そう言ってもらえることは嬉しいけれど
「そもそも独立ってなんじゃ」
「できるわけない」
「別世界の話」
それが率直な感想だった。
私はただの主婦。
夫は会社員。
両親は公務員だし、周りに独立している知り合いもいない。
しかも生まれたばかりの小さな子どもが2人。
独立起業って、もっと特別な人がするものでしょ。
パートで十分。
平和にぬくぬく暮らしたい。
独立なんて、できるわけないし、するわけない。
うん、、
できるわけないし、するつもりもない。
「考えさせてもらってもいいですか?」
そう返事をしていた。
できるわけないし、するつもりもないのだけど。
持ち帰ってじっくり考えてみたい。
そう思った。
続く。