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海辺の石ひろいの楽しみ方


今回は皆様からのリクエストの多かった身近な場所での石探しの
簡単な手引きを作ってみました。

ご近所や旅先での楽しみにぜひどうぞ

岩石・鉱物の自己採集

「自分で石を採集してみたい!!」
そんな風に考えていらっしゃる方、多いのではないでしょうか?
しかしどんな風にすればよいのか分からない、、、
そんな風に思ってなかなか一歩踏み出せない方も多いはず。
ということで、まずは簡単に日本国内での石の自己採集の方法についてまとめさせていただきます。

石ひろいのハードル

石拾いには「露頭(ろとう)」と呼ばれる、石や土がむき出しになっている場所が適しています。
しかし、日本は雨が多く、ほとんどの場所が木や草におおわれており、露頭と呼べる場所が一面に広がっている、例えば砂漠のような場所はほとんどありません。
そのため、少しだけ露頭がある場所を探さなければなりません。

身近な露頭

身近な露頭としては
・切通しの道路ののり面
・古い鉱山のズリ山(石捨て場)
土砂崩れのあと
そして、今回紹介する河原や海辺があります。
上に紹介した露頭は地質調査などではすべて見なければならない重要な露頭ですが、今回の目的である、誰でも簡単に楽しめるという初心者向きのものは河原や海辺、そしてズリ山に限られてきます。(ほかの二つは危険だったり、見つけにくい)

ズリ山の欠点

上で紹介したズリ山。
鉱山の石を捨てる場所ですから、いろいろな面白い石があるのですが、
要はゴミ捨て場ですので道がほとんどありません。
また土地がもろく土砂崩れや、穴にはまって死亡するケースもあります。
加えて私有地である場合が多いので気を付けなければならないルールが沢山あります。
ですからまずは河原や海でルールや、道路のない場所の歩き方に慣れてから挑戦を考えてみる事をお勧めします

海辺や河原の利点

今回この記事を読んでくださる方に海辺・川辺をお勧めする理由はいくつかあります。
まずは、当然ながら海辺や河原はどこにでもあるということ。
近所の散歩でも、旅行先でも気軽に石ひろいを楽しむことができます

それから川や海は色々な種類の石に簡単に出会えるという点
川は水源から流れる過程で色々な場所を通り、それぞれの場所の石を運んできます そのため、いくつもの遠い場所の石を一度に簡単に見れるのです

加えて日本は地質が複雑ですから、採算に合わなかったり見つかっていない鉱脈が沢山存在しています。こうした場所の貴重な石が流れてきている場合もあるのです。

他にも平らで歩きやすい
石がすでに持ち帰るのにちょうどいい大きさになっている。
泥や砂が洗い落とされているので見つけやすく洗浄が楽などの長所があります。

実際に採集する

日本国内にも宝石や貴重な石が取れる海岸、河原が沢山あります。
北海道には琥珀(アンバー)やメノウ(アゲート)が採れる海岸がいくつか
新潟・富山には宝石のヒスイ(ジェード)サファイアの採れる海岸
愛媛県にはザクロ石(ガーネット)、レアメタルのクロムが採れる河原

などなど、、、面白い場所が沢山あります。しかしどこにでもあるわけではありませんので、今回は比較的何もない近所の海辺で、たいていどこでも楽しめるポイントをご紹介します。

守るべき約束

まず注意点から
・上着を持っていく(海辺、川辺は風が強く、結構冷えます)
・穴を掘ったら埋める(現状維持)
・素足で歩かない(けが予防)
・根こそぎ石をとらない
・天候の変化/増水に気を付ける
この5つをまず守ってけがや事故を防ぎましょう

持ち物

石を入れるジップロック数枚
基本はこれだけでオッケーです。
これに入りきれなかったり、素手や、落ちている棒などで取れないものは
採らない方が良いです。

実際に行ってみた

まずは近所の海に行ってみました。

とても小さなビーチですが、十分楽しめます

ビーチにつくと、海岸線に平行に、白い筋が何本も見えます。
軽石の筋です。この軽石は最近話題の福徳丘の場のものではなく、
何万年も前に噴火した火山のものです
浜辺は波によって同じ重さの石がより分けられているので、同じ石が沢山
欲しいときはその石があった筋を探すと見つかりやすいです。

集まった砂鉄

石をより分けるのは波だけではありません。
強い風は、砂鉄のような小さい砂状の鉱物をより分けてくれます。

拡大した砂鉄。
同じような大きさ、色の黒っぽい鉱物の集団であることが分かる


砂鉄

砂鉄は浜辺の重要な情報を多く含んでいます。
砂鉄は磁鉄鉱やチタン鉄鉱という鉱物の小さな結晶の集団です。
この鉱物はいずれもマグマに含まれています。
砂鉄が沢山見つかるということは、マグマ、
つまり火山に関連する岩石が多いということです


軽石

まずは、先ほど出た軽石。文字通り軽く、水に浮かびます。
マグマの中のガスが多い部分が固まってできたため、
ガスがあった部分が沢山の空洞を作りスポンジ状になっています

とても柔らかく、チョークのように文字が書ける
軽石にも色んな種類がある。
どれも細かい穴まみれで軽いので
簡単に見分けがつく


他の火山岩

色々ないし

今回50mもないような小さなビーチで、これだけたくさんの石が見つかりました。
岩石的には、凝灰岩、安山岩、軽石(スコリア)、流紋岩というものになります。
すべてマグマからできた岩石です。

今回はその中から安山岩を紹介します。

安山岩

安山岩、外国名はアンデサイト。
アンデス山脈でとれることから名づけられました。
アンデス山脈にあるインカ帝国の遺構には安山岩が良く使われています。
テレビで映った時など、よく見てみてください。

安山岩はよく火山から噴出する石で、日本でよく見られます。
安山岩が沢山あるということは近くに火山がある、またはあったと考えるこができます。

ピンクと灰色の安山岩
色んなアンデサイト(左下はあやしい)

上に示したように、アンデサイトにはいろんなカラーがある。
これは、含まれている鉄分が、熱や酸素に反応してかわる。

特徴として、白と黒の斑点がまばらに散らばっている、全体は灰色ベースなどがあります。
しかし、真っ黒なのとか真っ白なのとか色々あるので見た目での判断は難しいかもです。
そんな時は「○○県(○○市)安山岩」で調べて、似た見た目のを探してみてもいいですね
または近隣の火山「浅間山 安山岩」などで調べてもいいかもです。

石炭

きらきらした石炭

石炭は植物の化石です。
海や湖の底に沈んだ草木が長い時間(数千万年~数億年)の時間をかけて
熟成したものです。
キラキラとした光沢があり、ほかの石より軽いです。
石にこすりつけると、黒か茶色の線がひけます。
やすりで簡単に磨け、キラキラと光って美しいので、持って帰っても楽しいかもです。
石炭の鉱脈が近くにある場合、石炭を使っていた場所が近くにある場合
ビーチでとれます。
時折、石炭の中に小さな琥珀の粒が混ざってることがあるので、探してみても面白いかもです

とりあえず海辺、ビーチ編はここまで。
次回、河原辺に続きます。 ありがとうございました。

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