ひねくれ者
「ぼくのお日さま」という映画を観に行ってきた。大学時代の友人5人と。
この5人とは年に1回、NY在住のYちゃんが一時帰国した際に集まっている。いつもは一緒にご飯を(これも5人の内の1人Mちゃんのご主人がシェフを務めるお店で)食べるだけなのだが、今回は食事の前にみんなで映画を観ることになった。
きっかけはメンバーの1人であるA子のお嬢さんがこの映画の監督である奥山大史と幼馴染だという事と、NYから一時帰国している別の友達が職場(Japan Society)で日本映画祭を開催した時にこの映画の監督が新進気鋭の映画監督として参加し、その友達が「私は貴方の幼馴染のお母さんとお友達なのよー」と言って写真を一緒に撮ったという縁。
感覚としては一度も会ったことない遠い親戚の子が映画監督になって撮った映画を親戚一同で観に行くというノリで私は参加表明した。なので、なんの予備知識もなかったのだが、映画のチケットをアレンジしてくれたA子から集合日直前に送られてきた情報で池松壮亮が出演している事を知って小躍りした。私は池松壮亮という俳優が大好きなのだ。(この映画でも彼の良さは存分に発揮されていた。)
映画の感想はとりあえず置いておいて、映画を観終わった後は「良かったねー」「奥山くんすごいね。ちっちゃい頃の作文とか読んでみたいね。」「今後が楽しみだねー。」と言いながら映画館の近くでお茶をして、その後Mちゃんのご主人のお店へと移動した。
かれこれ40年ほどに及ぶ付き合いのある友人たちなのでお互いの事はかなり隅から隅までよく知っている。それでも、当たり前だが、学生だった頃のように日々密な交流があるわけではないのでこういう時の会話はそれぞれの近況報告であったり、オススメテレビシリーズの情報交換であったり、上滑りな内容に従事する。美味しい食事に楽しい会話。「楽しかったね。又来年も会おうね。」と言いながら、その言葉は決して嘘ではないのだけれど、一抹の淋しさを感じつつ帰路に着いたのは私だけだろうか。
昨夜私が感じた淋しさの様に日々の生活の中では忘れられてしまいそうな一つ一つの感情の機微を優しい視線で丁寧に拾い、美しい映画に仕上げてあるのが「ぼくのお日さま」という映画。
観終わった後、ひねくれ者の心も少しだけまっすぐにしてくれるような。ほんの少しだけ。
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