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あれ?
一旦目を覚まし今日は何を書こうかと考えて「よし、これで行こう!」と決めたところで再び睡魔に襲われた。そこまでは覚えているが肝心の書こうと思っていた内容が思い出せない。
会話をしていて固有名詞がなかなか出てこないという現象が頻発するようになって久しい。何かを取りに2階に行って結局何を取りに行ったのか思い出せず手ぶらで下に降りてくるなんていうことも日常茶飯事。
若い頃は有名人の名前、映画や本のタイトル等々どうでもいい固有名詞は人に感心されるくらいスラスラ出てきたものだ。逆に試験のための暗記は若い頃から苦手だった。脳が暗記せねばと意識し過ぎるとその内容がすんなり入ってこれなくなったのかもしれない。
そうかと思えば、こんな現象もあった。4年前にメキシコに移り住んで新しい顔と名前を覚える必要性が生じた。彼の地に住んでいた3年間は何故か固有名詞を記憶する能力が回復した。不動産屋のフェルナンド、大工のアントニオ、夫のウェブサイトを作ってくれたアルベルト、車のディーラーのホゼと次から次へと知り合った相手の顔と名前を覚えて必要に応じて思い出すことができた。脳が違うギアに入った感覚だった。
夫に
「あの靴の修理屋はなんていう奴だっけ?」
と問われれば、
「ロベルト!」
「ビリヤード場の店主は?」
「アルマンド!」
「マンションの管理人は?」
「カルロス!」
てな感じで面白いくらいスラスラ出てきた。
あれは一体どういう事だったのだろう。夫婦2人共スペイン語は話せず、右も左もわからない環境にいきなり飛び込んで脳が非常事態と判断したからなのだろうか。
日本に戻って来てからは元の木阿弥。固有名詞を覚えることも思い出すことも一苦労だ。言葉も勝手もわかる馴染みの国に戻って脳がホッとしたからだろうか。
こうやって書いているうちに元々書こうと決めていた内容の記憶が蘇ってくれるかと期待していたが無理そうだ。
きっと、後で庭木に水をあげている時とか歯を磨いている時とかにふっと思い出すのだろう。私の頭のコンピュータメモリは一筋縄ではいかないのだ。