くおりてぃ・おぶ・らいふ
昨日は母と母のお友達のマリちゃんが我が家にランチを食べにやって来た。2人は高校時代のクラスメートだから60年以上のつきあいになる。
ランチがひと通り終わり、夫と私がキッチンで後片付けをしていると、2人はそれぞれがつきあいのある高校時代の他のクラスメートの近況を確認しあって穏やかに会話を楽しんでいたのだが、そんな2人の会話のバックに何か金属的な雑音も聞こえてきた。
「これは何の音だ?」と不思議がる夫に、母がすかさず「マリちゃんの補聴器がハウリングしているのよ。」と説明した。
「最近ちょっと頻繁にハウリングがするようになって、前ほど聞こえなくもなってきたのよ」と言うマリちゃんに、母は「一度購入したお店に行って調整してもらった方がいいかもしれないわね」とアドバイスした。補聴器も扱う眼鏡店で長年働いていた母は補聴器のしくみをひと通り理解している。
すると、マリちゃんは新しい補聴器を買おうか迷っていると言い出した。補聴器を使うようになって、人との会話も再び楽しめるようになって生活の質も向上したのだが、最近また機械の調子が悪くなったきた。そんな折、同じく補聴器を使っているお友達から、もっと高い補聴器にすればよく聞こえるようになるとすすめられたそうだ。マリちゃんがいま使っている補聴器は20万円のもの。件のお友達がすすめるものは100万円。残りの人生もそんなに長くないだろうから勿体ない気がすると言う。
そんなマリちゃんに母はこうアドバイスした。まずは耳鼻科に行ってしっかりチェックしてもらい、補聴器を使ってどこまで聴力の矯正が可能なのか確認するべし。補聴器のグレードを上げればもっと聞こえるようになると医師が言うのであれば、経済的に無理のない範囲内で是非そうする方が良いと。この先の人生そう長くないのだからこそ、生きている時間の質を上げて楽しむべきだと。
母は6年前まで配偶者の介護に奔走し、自分の楽しみは二の次の生活だった。独り身になってからは人生を謳歌している。決して贅沢をしている訳ではないが、生活をちょっぴり豊かにしてくれる物事には出し惜しみをしない。
マリちゃんとノリちゃんが我が家のダイニングで2人の女学生のように楽しくおしゃべりしている光景、これぞquality of life。